──感染者が増えると入院ができない、その状況は全然改善されません。
菊池:変わってはきているんですよ。ただ、結果として変化が見えにくい部分があるのは確かです。
私たちは入院を“上り”、退院を“下り”に例えることがあります。下りが順調なら病床が空き、上りもスムーズになる。逆に下りがつまってしまえば、上りにも影響を及ぼします。
このうち、上りを大きく減らす要素としては、ワクチン接種や重症化を防ぐ治療薬があって、そこはかなり変化しました。ただ、それも第7波になって患者層が変わってきていて、入院が重症度だけでは決められなくなってきています。
分業と連携によって地域医療を強化
──何とかなりませんか?
菊池:「病院に行く前の機能」、つまりかかりつけ医の機能をどうやって強化していけるか、考える必要があります。
入院前の患者さんを受け持つのは、かかりつけ医であることが多い。全国には約10万人の開業医が日中、診察していますが、基本的には夜間や休日は休診なので、医療体制は非常に弱い。
そうかといって、開業医が24時間365日待機するのは現実的に困難ですし、人を雇って夜間・休日対応すると、人件費などのコストがかなりかかってしまう。
そこで、われわれのようなチームが開業医と連携をとりながら夜間・休日の医療体制を強化し、分業と連携によって24時間にわたってサステイナブルな医療を患者さんに提供できるようになればいいのではないかと考えています。
コロナ禍では医療機関だけでなく自治体とも分業・連携を行い、保健所業務の逼迫や地域ごとの医療的な課題解決を支援してきました。
例えば、無医地区を多く抱えるために県内全域で公平な医療提供ができない地域へは、都市圏からオンライン診療を通して診療リソースを分配するなどですね。まさに分業と連携によって、地域医療が強化された好事例だと感じています。
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