──本来なら入院が必要な人たちが入院できなかった。
菊池:SpO2が90%未満になると呼吸不全という状態になります。それくらいにならないと搬送適応のない状況が、いかに医療の混乱を物語っていたか想像にかたくないでしょう。
第3波から救急がまわらなくなった
──救急医療がまわらなくなったという実感はいつぐらいからありましたか?
菊池:自宅療養が認められた第3波ぐらいからありました。ファストドクターは、第3波の後半から提携する地方自治体の保健所からの依頼を受けていましたが、その頃から入院が困難になるケースが出始め、第4波からは重症で肺炎を起こしても受け入れ先がなく、自宅で待機せざるをえない人が増えました。
──第6、7波はどうでしたか?
菊池:第6波もひどかったですが、第7波はそれ以上で、自宅療養者の依頼件数や、酸素を導入しながら入院調整がつくまでの間に自宅待機する患者さんの数は第6波を上回っています。
入院が難しい状況が7月下旬からずっと続いていて、入院待機の日数が平均で4、5日、長いと1週間を超えています。現在はややピークアウトしていますが、それでも入院待機日数は平均2~3日を行き来している状況です。
──入院できずに自宅で待機しているのは、高齢者や基礎疾患がある人ですよね。
菊池:第5波、デルタ株の最後のあたりからワクチンの接種率が高まったことで落ち着きましたが、それまではやはり高齢者や基礎疾患をお持ちの方の困難事例が目立ちました。ワクチン接種が進んだ後は、ワクチン接種をしていない人の重症化の割合が増えてきました。それも、若くて基礎疾患がない人の肺炎の重症化です。
さらに第6波、第7波になると、またこれまでと入院する層が変わってきました。コロナ肺炎の重症度でいうと比較的軽症者の人たちなのですが、脱水や食事が取れない方、基礎疾患の合併症を起こした方など、そういう虚弱な高齢者の入院待機が増えています。
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