──下りはどうでしょうか。
菊池:現状ではあまり変わっていません。具体的には、コロナ病棟には大きく重症用と中等症用のベッドがあります。それぞれ回復したら療養型の病院に転院する、あるいは在宅で診ることになりますが、その体制はまだ十分に機能していません。
コロナ療養では在宅医療を強化すべき
──菊池さんは、下りをスムーズにするために何が必要だと思われますか。
菊池:まずは、在宅医療の機能を強化することだと考えています。日本の場合、ベッド(病床)は有限で、数を増やそうと思っても難しい。まして、施設基準の関係でベッドを増やすなら、医師や看護師の数も増やさなければならない。でも、それは現実的ではありません。
でも、在宅ならベッドの増減は関係なく、ヒトやモノなどのオペレーションを効率的に運用することにより、柔軟な対応が可能です。
──コロナ患者さんを在宅で診るのは、本当に可能なのでしょうか。
菊池:もちろん、課題はまだあります。というのも、日本の在宅医療はがんの終末期や認知症、慢性疾患といった慢性期の在宅医療に関しては、ここ10年ぐらいでかなり進んできました。
対して、肺炎になった直後や術後など、体調が変わりやすい時期になる急性期は、病院で診ることが一般的なため、在宅医療で対応できるケースは限られます。
ただ、今回のコロナで、在宅で診療できる幅が広がったと思っています。われわれが独自に実施した調査では、入院待機中に往診を行った中等症1、2相当の肺炎患者を、入院後まで追跡したのですが、円滑に入院できた症例と比べて、死亡率には大差はありませんでした。治療の場にかかわらず、早期治療を開始する有用性はあったと考えています。
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