がん終末期に、体が思うように動かなくなってから亡くなるまでの期間は、個人差はあるものの、数週間から2カ月程度といわれています。
もし「残された時間を一緒に過ごしたい」と願うのであれば、動けなくなり始めたら「すぐに」休みを取ったほうがよく、そのための準備を事前にしておくことが大切です。
この段取りを始めるタイミングは、早いに越したことはありませんが、「医師から緩和ケアや在宅ケアの話が出たとき」を1つの目安として考えるといいでしょう。多くの場合、この話が出たということは、介護休暇の取得に向けて、動き出したほうがいいということになります。
介護休暇を取るタイミングは?
実際に介護休業を取るのは、患者さんが自力でトイレに行けなくなってきたときや食欲がなくなってきたときなど、これまでとは明らかに体調などに変化が見られるようになったときです。
もちろん家族だけで判断するのは難しいことなので、主治医や看護師、病院の相談室などに相談しながら、大事な家族の介護のために使える時期を決められるといいと思います。
家族のなかには、本当は残された期間を一緒に過ごしたいのに、「症状の変化を見逃したらどうしよう」「何かがあったら素人の自分には対処できない」と、在宅での療養生活を送ることについて二の足を踏まれる方もいます。ですが、患者さんの身に起こっている重要なサイン、「いつもと違う」という感覚は、実は医療者以上に家族の方が察知しやすいものです。医学的な知識がなくとも、「いつも」の状態を知っている家族の感覚が、重要な判断材料になることがあります。
この時期に何かを見逃したから、その患者さんの命が縮まってしまうということは基本的にありません。入院でも在宅医療でも、医師や看護師が24時間つきっきりで一人の患者さんをみているわけではありません。それは家族も同様で、24時間ずっと患者さんをみている必要はないのです。
24時間体制の訪問看護や在宅医を選ぶことで、何か迷うことがあったらいつでも連絡を取ることができ、緊急時には駆けつけてもらえます。自分1人で何かを判断する必要はなく、困ったときにはいつでも相談できる体制があるのです。
また、一度自宅療養を始めたからといって、最期まで家にいないといけないわけではなく、途中で入院や施設の選択をすることもできます。そうした場合を踏まえ、いざというときに速やかに入院できるよう、事前に緩和ケア病棟のある病院にバックベッド(後方支援病床)を登録しておくことも大切。バックベッドの登録は、在宅医を通じて行うことができるので、まずは医師に相談してみてください。
こうした在宅療養を支える体制を知って、心の準備をしておけば、「とりあえず在宅ケアをスタートしてみて、難しかったらまた考える」というスタートの仕方もありだと思います。
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