金融系の企業で管理職として働いているAさん(50代)。広告会社勤務の夫(50代)と、子ども(30代)と家族3人暮らし。多忙な仕事と家庭を両立している女性です。あるときAさんの母親(80代)ががんの終末期であることがわかり、残された期間をAさん宅で過ごすことになりました。
みんなと一緒に暮らしたい
大切な人が限られた命となったとき、家族としてどう支え、どう過ごすか。本人の希望を叶えてあげたいと誰しも思うものです。Aさんも、母親の「みんなと一緒に過ごしたい」という希望に応えたいと思ったそうです。
ところが、そこに立ちはだかった問題が、仕事と介護の両立でした。
どうしたら仕事をしながら、母親を介護できるか。その課題と向き合ったときに、周囲と相談しながら導き出した答えが、「家族みんなでお母さんをみる」ことでした。Aさんの家族はみんな仕事を持っています。それぞれが仕事の融通を利かせながら調整して時間をつくることで、介護に関わることができるのではと考えたのです。
それに、Aさんは、そうやって家族が母親と関わる時間をつくることで、お互いに残された時間がより良いものになるはずだとも考えていました。
そこで「残された時間を、母親にとって最大限に良いものにする」という目標を決め、家族で試行錯誤しながら在宅ケアを行う日々が始まりました。
私は母親の在宅医としてAさん家族と関わるなかで、家族で一致団結して母親を支える“チームプレー”を目の当たりにしました。そのチームプレーとは、こんな具合です。
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