家族ががん終末期、いつ介護休暇を取得すべきか 家族・弟で母親を看取ったAさんのケースを紹介

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大切な人の最期にどう関わればいいか、在宅医療の専門家が解説します(写真:著者撮影)
コロナ禍で病院での面会が制限されていることなどを背景に、需要の高まりを見せている在宅ケア。家での療養生活を支えるのが、患者宅を訪問して診療を行う在宅医などだ。
これまで1000人を超える患者を在宅で看取り、「最期まで自宅で過ごしたい」という患者の希望を叶えてきた中村明澄医師(向日葵クリニック院長)が、若い人たちにも知ってもらいたい“在宅ケアのいま”を伝える本シリーズ。
6回目のテーマは、仕事を持つ家族が、自分で介護をするときの関わり方について。主に余命が限られたがん終末期に、いつからどんな準備をし、どのように関わっていくかについて解説する。
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金融系の企業で管理職として働いているAさん(50代)。広告会社勤務の夫(50代)と、子ども(30代)と家族3人暮らし。多忙な仕事と家庭を両立している女性です。あるときAさんの母親(80代)ががんの終末期であることがわかり、残された期間をAさん宅で過ごすことになりました。

みんなと一緒に暮らしたい

大切な人が限られた命となったとき、家族としてどう支え、どう過ごすか。本人の希望を叶えてあげたいと誰しも思うものです。Aさんも、母親の「みんなと一緒に過ごしたい」という希望に応えたいと思ったそうです。

ところが、そこに立ちはだかった問題が、仕事と介護の両立でした。

どうしたら仕事をしながら、母親を介護できるか。その課題と向き合ったときに、周囲と相談しながら導き出した答えが、「家族みんなでお母さんをみる」ことでした。Aさんの家族はみんな仕事を持っています。それぞれが仕事の融通を利かせながら調整して時間をつくることで、介護に関わることができるのではと考えたのです。

それに、Aさんは、そうやって家族が母親と関わる時間をつくることで、お互いに残された時間がより良いものになるはずだとも考えていました。

そこで「残された時間を、母親にとって最大限に良いものにする」という目標を決め、家族で試行錯誤しながら在宅ケアを行う日々が始まりました。

私は母親の在宅医としてAさん家族と関わるなかで、家族で一致団結して母親を支える“チームプレー”を目の当たりにしました。そのチームプレーとは、こんな具合です。

次ページAさんが考えた「仕組み」とは
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