テレビ番組は「音」に注目するとより面白くなる訳 「タモリ倶楽部」の制作会社「ハウフルス」の流儀

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テレビを見ている風景
老舗制作会社「ハウフルス」流の音選びとは(写真:beauty-box/PIXTA)
“アーバン・バラエティ”の第一人者、菅原正豊氏が創業した制作会社、ハウフルス。同社が制作する番組に共通するのは、選曲や効果音など「音選び」に対する特別なこだわりだ。同社の制作者に脈々と受け継がれるDNAとはいかなるものか。

「タモリ倶楽部」(テレビ朝日)、「出没!アド街ック天国」(テレビ東京)、「秘密のケンミンSHOW極」(読売テレビ)など、個性的かつ息の長い人気番組を数多く手がける制作会社、ハウフルス。

『GALAC』2022年10月号の特集は「テレビのサウンドパワー」。本記事は同特集からの転載です(上の雑誌表紙画像をクリックするとブックウォーカーのページにジャンプします)

同社が制作する番組は、“代表取締役演出家”としてバラエティ制作の最前線を歩んできた創業者、菅原正豊氏(現・会長)の、都会的でスタイリッシュ、かつユーモアとこだわりを感じさせる制作スタイルが色濃く反映されており、ある種のDNAとして継承されている。

広告の世界では、個性的な作風を売りにする制作集団を“ブティック”と呼んだりするが、テレビ番組制作の世界において、ハウフルスはまさしくブティックと呼べる稀有な存在だ。

ハウフルスの「音」へのこだわりについて、DNAの継承者である2人のディレクター、「出没!アド街ック天国」の演出を務める堀江昭子氏と、「秘密のケンミンSHOW極」の演出を務める佐藤和彦氏に話を聞いた。

テレビは「見る」だけではない

「テレビは『MA前の視聴率』といって、音やナレーションが付く前の段階、つまり画だけでも面白いもの、早回しで見ても面白い番組を作れというのが、昔から言われてきたことなんですけれど、MA前に面白くて、そこに楽しい音が付いていたら、もっと面白くなるだろうと。画も音も両方主役で、音は単なるBGMじゃないというのが、そもそも菅原(会長)のポリシーなんです」(堀江氏)

テレビ番組は見るものであり、テレビが映像メディアであることは一義的には正しいが、正解ではない。なぜなら、見る人のことを「視聴者」と呼ぶからだ。視聴者は映像を見ながら、流れてくる音も聞いている。

「僕が入社したときはもうすでにハウフルス流の音が確立されていて、そのなかで育ったので、他の番組と比較すると『あー、全然選曲が違うな』とか感じてしまうんです。ウチは独特なんだなって」(佐藤氏)

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