「学校に行きたくない」子に親がしてしまうNG言動 親以上に子どもが不安なことを考えて行動を

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小学校の不登校対応は「20年遅れ」と言われています。かなりショッキングな事実ですが、なぜ小学校は対応し切れていないのでしょうか。また最近では「ブラック校則」も問題視され始めました。そうやってさまざまな点からひもといていくと、忙しすぎる教員たち、また学校現場での理不尽さやひずみのようなものを敏感に察した子どもたちが、行きたくなくなってしまうというケースが増えているのかもしれません。石井氏に聞きました。

「『不登校は炭鉱のカナリアみたいだ』と言う人がいます。炭鉱にカナリアを置いておくと、炭鉱の中でガス漏れが発生したとき、カナリアがいち早く鳴いて、「ここは危険だ」と教えてくれるのだそうです。

学校で苦しんでいる子たちは、学校の中で起きているひずみを、自分の体を通して「行けない」と表現しているのでしょう。その声にもっと耳を傾けてみると、確かに学校が今の社会から取り残されているところや、学校自体のひずみなんかがよく見えてくるんです。親御さんも今の学校はちょっときついなと、そろそろ気づいているのではないでしょうか」

台湾の天才IT大臣のオードリー・タン氏も、自身が不登校であったことを告白していますし、不登校新聞でも演出家の宮本亜門さん、タレントの中川翔子さんなど、多くの著名人が自らの不登校体験を語っています。

不登校も成長のしかたの1つ

最後に、石井さんからの親御さんへのメッセージを記します。

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「不登校も成長のしかたの1つだと思っています。不登校を経験した子たちは、人より多く悩み、苦労したかもしれないけれど、今は一生懸命自分の人生を生きています。親御さんが『うちの子は大丈夫』と思えたら、子どもは安心して休むことができます。『今休んでも大丈夫』と思って、温かく見守ってあげてください」

世界中で多様性の尊重が叫ばれる今、子どもたちの受け皿となる学校のあり方や学習スタイルは、まだ多様とはいえません。しかし、コロナ禍がきっかけで、子どもが学校に行けなくなっても、オンラインでの学習機会は増えています。さまざまな新たな学びの場所や情報を調べ、親子で共有しておくことも、子どもの安心感につながるでしょう。

毎日子育てをしていれば、「つらい」「やめたい」「ムカつく」「キレそう」「限界」などなど、ネガティブな感情は誰にだってあります。親だからって完璧じゃないから。でも、どうせなら、お互いなるべくハッピーでいたい。山あり谷ありの「谷」のときにも、親子がもっとラクに、笑顔で過ごせる時間が増えますように。

加藤 紀子 教育ジャーナリスト

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かとう のりこ / Noriko Katou

1973年京都市生まれ。1996年東京大学経済学部卒業。国際電信電話(現KDDI)に入社。その後、渡米。帰国後は受験、英語教育、海外大学進学など、教育分野を中心にさまざまなメディアで旺盛な取材、執筆を続けている。2020年6月発売の初著書『子育てベスト100』はAmazon総合ランキング1位を獲得。17万部のベストセラー本となり、韓国、台湾、中国、タイ、ベトナムでも翻訳出版されている。

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