中国が「小規模な侵略」を繰り返す超横暴な思惑 緊張を高めるリスクいとわず、支配領域を拡大

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では、本土から離れた尖閣諸島はどうでしょうか。アメリカは、尖閣諸島も日米安全保障条約の適用範囲であることを認めています。ラインを引いているということです。それを越えれば、アメリカは行動するという明確な意志を示しています。

中国は、引き続きアメリカとの直接対決になることを回避しながら、ギリギリのラインを攻めてくるでしょう。例えば、尖閣諸島周辺を往来する海警船の数を現在の数十倍、あるは数百倍にまで増やして、その領域が実質的に中国の施政下にあるような状態に近づける、という戦略があるでしょう。あるいは、漁民を装った海上民兵が、尖閣諸島に上陸するというシナリオも想定できます。

日本はあらゆる事態を想定して、尖閣諸島を守るための戦略を立てなければなりません。

自らの力で領土を守ろうとする意思が重要

「尖閣諸島のような小さな島、中国にくれてやればいいのではないか」という声もあるでしょう。それは、確かに妥当な意見のようにも思えます。

しかし、日本が、簡単に領土を渡してしまう国であると思われれば、中国の行動はさらにエスカレートするでしょう。また、いくら同盟関係があるとはいえ、日本が自らの力で領土を守ろうとする意志がなければ、アメリカも助けてはくれないでしょう。

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国際社会は、あくまで無政府状態です。何もしなくても、ほかの国家が守ってくれるということはありません。国家は、自らの安全は、自らで確保しなければなりません。

つまり、自助努力が必要だということです。アメリカとの強固な同盟関係は、日本が長年の自助努力によって築きあげたものです。それを最大限に活用するために、どのような行動をとるべきかが、今、問われています。

もっと簡略にいうと、日本は、アメリカが守ってくれるような状況をつくる必要がある、ということです。そのためには、自らの力で領土を守り抜くという姿勢を見せなければなりません。

天野 修司 国際政治学者

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あまの・しゅうじ / Shuji Amano

2003年大阪府立大学経済学部卒業。大学在学中、プロボクサーとしてデビュー(戦績:5戦2勝2KO3敗)。ボクシング引退後、コンテナの荷下ろしのバイトなどで渡米のための資金を稼ぐ。2009年ジョージア工科大学国際関係科学修士課程修了。慶應義塾大学研究員、長崎大学助教、慶應義塾大学特任助教などを経て、2015年より日本医療科学大学助教、2019年より准教授。外務省からの依頼を受けて、ASEAN地域フォーラムの会議や生物兵器禁止条約の締約国会合に参加するなど幅広く活躍中。

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