中国が「小規模な侵略」を繰り返す超横暴な思惑 緊張を高めるリスクいとわず、支配領域を拡大

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南シナ海でも、中国による活動はエスカレートしています。南シナ海では、中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイが、それぞれ南沙諸島の領有権を主張しています。そんななか、中国は、2014年から南沙諸島にある7つの環礁(ファイアリークロス礁、ジョンソンサウス礁、クアテロン礁、ヒューズ礁、ガベン礁、スービ礁、ミスチーフ礁)の埋め立て作業をはじめました。環礁というのは、円のような形でつながっている岩やサンゴ礁のことです。もともと7つの環礁は満潮時には、そのほとんどが海面の下に沈んでしまうくらいのものでした。

それが、わずか2年足らずの埋め立て作業で、人工島に変わっています。7つのうち3つの人工島には、3000メートル級の滑走路が建設されています。ミサイル発射台や格納庫などの軍事施設に加えて、道路やスポーツ用のグラウンドなども整備されていて、もはや人工島は巨大な街と化しています。

中国は、東シナ海および南シナ海で小規模な侵略行為を続けています。大規模な戦闘につながることを回避しながら、緊張を高めるリスクをいとわないという姿勢をとっています。これは、いわゆるサラミ・スライス作戦と呼ばれるものです。サラミをスライスするときに、薄く1枚ずつ切っていきますが、最後にはすべてのサラミが無くなってしまいます。それと同じように、中国はすこしずつ物理的な支配領域を広げていくという作戦をとっているということです。

「一帯一路」構想

さらに、中国は「一帯一路」構想を掲げて、グローバルな形での影響力の拡大を目指しています。

一帯一路構想の図表
出典:『地政学だけではわからない シン・国際関係論』

「一帯一路」構想とは、「一帯」と呼ばれる陸路と「一路」と呼ばれる海路で、アジア、中東、アフリカ、ヨーロッパをつなぐというものです。現代版シルクロードとも呼ばれています。具体的には、中国が他国や国際機関と協力して、その「一帯一路」上にある都市で交通網の整備やパイプラインの敷設、生産工場の建設などのインフラ投資事業を行っています。2020年11月の時点で、138カ国が中国との協力枠組みの協定を結んでいます。

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