「この人、面倒くさい」と思われない正論の話し方 その場の空気に流されない伝え方のポイント
人は誰しも会社や社会に対して、「こうあるべき」「こうしたほうがよくなるはず」という思い=正論を持っていることでしょう。しかし、そうした思いを会社や上司に伝えても、得てして相手に煙たがられたり、無視されたりしがちです。結局、主張するのをあきらめてしまう人が多いのではないでしょうか。
「そこで引き下がってはいけません」と言うのは、京都大学大学院教授の藤井聡氏です。同氏はこれまで大阪都構想への反対や積極財政への転換など、自身が正しいと思うこと=正論を数々論じてきました。
はじめは見向きもされなかったこれらの主張は、次第に共感を呼び、最後は多くの人の心をつかみました。どうすれば、藤井氏のように人の心をつかめるのか。同氏の新刊『人を動かす「正論」の伝え方』をもとに、ビジネス社会で使える正論の伝え方、通し方について3回にわたり解説します(第1回)。
「正論」を言う人は面倒くさい?
雰囲気や空気を読むことが重要視される日本の社会において、「正論」ばかり言う人間は得てして野暮ったいとか、面倒くさいヤツというように思われがちです。
「お前は正論ばかり言うヤツだな」と言われたらまず間違いなく、相手はあなたに対して否定的な感情を持っています。あなた自身も褒められていると感じることはないでしょう。
これが欧米社会になると、かなり状況が異なります。欧米では空気を重んじるよりも、正しいことなのか道理にかなっているかどうかを真っ先に考える傾向があります。「正論」を主張するのは当たり前で、それが社会のためにもなることだという確信のもと、主張されるわけです。そこから議論や討論に基づく、民主主義の思想とシステムが生まれてきました。
ところが日本の場合、理屈が正しいかどうかより、その場の空気や流れを重んじます。理屈では明らかにおかしいと思うことに対して、心の中ではおかしいと思っていても声を上げません。あるいは、すでに自分で考え、判断することを放棄している人もいます。大勢に流されるままになっている人も少なくありません。
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