女性を次々と暴行した「ゲスの極みCEO」の末路 SNSでは道徳的発言で多くのフォロワーを獲得

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ダン・プライス
SNSでは道徳的な発言を大量にし、多くのフォロワーから共感を得ていたグラビティ・ペイメンツの元CEO、ダン・プライス(写真:/The New York Times)

モデル兼アーティストのケイシー・マージスは2020年、多くの人と同じルートでダン・プライスのことを知った。プライスの進歩的な経営を称賛するソーシャルメディアの投稿を通じて、だ。

「最低給与900万円超え」でメディアの寵児に

その5年前、プライスは従業員の最低給与を7万ドル(現在のレートで約950万円)に引き上げると発表。社員110人の支払い処理会社の社長としては異例の地位に自らを押し上げた。発表はニューヨーク・タイムズやNBCニュースで報じられ、雑誌『エスクァイア』はプライスの写真撮影を行った。プライスはテレビ番組「ザ・デイリー・ショー」やアスペン・アイデア・フェスティバルにも出演した。

マージスがプライスを知った頃には、プライスの評判やネット上のフォロワー数はさらに大きく育っていた。プライスがセルフプロデュースした「企業の強欲さについて真実を語るCEO」という役割は、幅広い共感を呼んだ。

ソーシャルメディアではプライスの投稿に「いいね」が何千万とついた。ケリー・クラークソンの人気番組では、ライオネル・リッチーが2人を眺める中、互いに冗談を言い合った。アンドリュー・ヤンが大統領選に出馬した際には、集会に集まったシアトルの有権者にヤンを紹介した。プライスを「アメリカの道徳的なCEO」と呼んだ元労働長官のロバート・ライシュとは、ビデオチャットも行った。

若くハンサムな経営者プライスが語る言葉にマージスは共感した。プライスは、ほかのビジネスリーダーの行き過ぎや傲慢さを批判する本物のインフルエンサーと映った。ツイッターやインスタグラム、リンクトインで延々と続く投稿でプライスは、心の健康や女性について正しいことを言っていた。

2020年、マージスがインスタグラムでプライスの投稿にイイネをつけると、当時35歳だったプライスから「バレンタインデーおめでとう、美人さん!」というメッセージが送られてきた。

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