女性を次々と暴行した「ゲスの極みCEO」の末路 SNSでは道徳的発言で多くのフォロワーを獲得
ところが、裁判所に提出された文書には、最低給与を7万ドルにするとうたったプライスの派手な発表は、兄から提訴された後になされたものであると記されていた。
またプライスは複数のメディアで、数年前の離婚は円満なものだったと話していたが、元妻のクリスティー・コロンは2015年10月に行ったTEDxトークで、プライスとの関係は虐待的なものだったと述べている。
自作自演の「サプライズ企画」
2015年12月に掲載されたブルームバーグ・ビジネスウィークの記事は、素早い反応を巻き起こした。プライスは50万ドルの出版契約を失い、ハリウッドのタレント事務所WMEとの契約も打ち切られた。
プライスはのし上がったのと同じ速度で表舞台から姿を消したわけだ。
2016年、プライスは短期間ながら注目を取り戻す。グラビティの従業員たちがサプライズプレゼントとしてプライスにロイヤルブルーのテスラを贈ったように見える出来事によって、だ。プライスは「冗談だろう?!」と言って目に涙を浮かべていた。
前出のパークルは「あれは完全に彼のアイデアだった」と語り、マーケティング部で4年間働いたマット・ドーもパークルに同意した。プライスはこれを否定し、「大切な思い出を汚そうとする人がいるのには、とても傷つけられる」と述べた。
プライスは2019年までには「アメリカの最高の上司」の称号を取り戻しつつあった。ウォール・ストリート・ジャーナルは彼を「輝ける人物」のリストに加え、ニューヨーク・タイムズのオピニオン欄ではジャーナリストのニック・クリストフがプライスを紹介する記事を書いていた。
関係が始まって3カ月がたった2021年4月、マージスはパームスプリングススでプライスと落ち合った。心地よい音を立てながら流れるタークイッツ・クリーク沿いを、プライスは裸足で歩いていた。途中、何度も携帯電話を取り出しては、自身のツイッターを確認していた。