「24時間テレビ」マラソンに感じるモヤモヤの正体 今年はEXIT・兼近大樹さんが5年ぶり単独ラン

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しかし、チャリティー番組である以上、「高視聴率を獲得できればいい」というわけにはいかず、募金額を増やすためにも人々の支持を得ることが必要でしょう。ただここ十数年間ネット上の動きを見ていると、「不満を抱きながらもつい見てしまう」「感動はしないけどゴールのシーンは一応見る」という人の声も多く、高視聴率を額面通りに受け取れないところがあります。

これらの人々が「不満」「感動しない」と感じる最大の理由は、チャリティーというコンセプトへの不透明さによるものではないでしょうか。かつてある雑誌がチャリティーランナーの推定報酬額を掲載して物議を醸したことがありました。その真偽はさておき、「はっきりさせないのは本当に高額の報酬を払っているからだ」と疑っている人が多いのは間違いないでしょう。

人々の称賛を集めた「チームQ」

その意味で1つの答えになりそうなのが、2020年に高橋尚子さん率いる「チームQ」が行った「24時間募金ラン」。これは「ランナーが1周5kmのコースを走るごとに10万円を募金していく」という試みであり、発起人の高橋さんは放送前から「お金をいただく気持ちはない」「走ることで恩返ししたい」と明言していました。

高橋さん、土屋太鳳さん、吉田沙保里さん、陣内貴美子さん、松本薫さん、野口みずきさんの6人は、目標の距離を達成したあとも放送終了ギリギリまで走り続け、最終的に計236㎞・470万円を募金。特に「走ることでお金をもらえる」プロフェッショナルの高橋さんと野口さんが、逆に「走ることで募金をする」という本当のチャリティーを見せたことを称える声が続出していました。

だからこそ、「走ることの素人である芸能人たちが高額の報酬を得て、募金の有無すらわからない」ことに不満を抱いてしまう人がいるのでしょう。今年のケースに当てはめると、もし兼近さんがマラソンではなく、プロの漫才師としてチャリティー漫才を披露するのなら、高額の報酬を得ることの違和感はやわらぐのかもしれません。

しかし、翌2021年は「復興への想いを繋ぐ 募金リレー」という企画に変わり、「24時間募金ラン」は1回限りで終わってしまいました。再びチャリティーランナーの報酬と募金の問題がグレーなものになってしまったのです。

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