「24時間テレビ」マラソンに感じるモヤモヤの正体 今年はEXIT・兼近大樹さんが5年ぶり単独ラン

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奇しくも兼近さんは、「今まで何かを成し遂げたことがなかったので、テレビでやりきる姿を色んな方に見てもらいたいです。チャラい見た目のやつが一生懸命に取り組んでいる姿を見ていただき、全力で走り切って皆さんに勇気を与えたいと思います! 運動はあまり好きではなく、走ること、疲れることはなるべくしないように生きてきたので、あえて苦手なことに挑戦したいと思います」などとコメントしていました。

「一生懸命に取り組んでいる姿で勇気を与えたい」「あえて苦手なことに挑戦したい」という姿勢は前向きで素晴らしい一方、昭和から続く“スポ根”そのものであり、令和の今、どれだけ人々の心に響くのでしょうか。

令和に入ってから初めての単独ランだけに、「クライマックスで『TOMORROW』『Runner』『負けないで』『愛は勝つ』『サライ』を立て続けに流す」「視聴者から寄せられた激励や感動のメッセージでゴールを埋め尽くす」などの感動に誘導するような定番演出も含め、視聴者から受け入れられるのか。今後の試金石になりそうです。

高視聴率でも不満がくすぶる訳

「24時間テレビ」がチャリティーマラソンを放送する最大の意義は前述したように、クライマックスを中心に「視聴率を取れる」からであり、「それが募金につながる」からとも言えます。

長時間番組は、間延びさせず、スケールメリットを感じさせるために、各コーナー(横軸企画)だけでなく、全体を通して行われる通しコーナー(縦軸企画)を加えて構成するのがセオリー。チャリティーマラソンは通しコーナーであり、スタートとゴールをフィーチャーするだけでなく、走っている映像や休憩中のインタビューなどが何度も放送されます。

また、ゴール前の日曜20時台に加えて、続く「行列のできる相談所」もランナーが生出演するため毎年高視聴率を得られるうえに、翌日にも朝から夕方まで「ZIP!」「スッキリ」「バゲット」「ヒルナンデス!」「news every.」と報道・情報番組で扱われ、夜のゴールデンタイムでも舞台裏を描く2時間特番を放送。チャリティーマラソンは3日間にわたって高視聴率を獲得できる可能性の高い優良コンテンツであり、だからこそ日本テレビにとって意義深い企画なのです。

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