「24時間テレビ」マラソンに感じるモヤモヤの正体 今年はEXIT・兼近大樹さんが5年ぶり単独ラン

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しかし、その間寛平さんが走ったチャリティーマラソンは、新潟・苗場から東京・日本武道館を走るルートを公開していたため、見物者が殺到したことでまさかの途中棄権。それでも反響が大きかったほか、17.2%の高視聴率を獲得(前年から10.6%アップ)し、以降は一度も1桁に転落していません。つまり「24時間テレビ」は、チャリティーマラソンで打ち切りの危機を脱し、以降30年間にわたる高視聴率獲得の中核に据えてきたのです。

チャリティーマラソンは、当初からさまざまな形式をトライし、さまざまなトピックスを生み出してきました。

1994年(第17回)は、ダチョウ倶楽部が3人同時ランに挑戦。1995年(第18回)は、間寛平さんが阪神・淡路大震災の復興を願い、神戸から東京の600kmを1週間かけて走破。1996年(第19回)は、赤井英和さんが一般参加者と日本縦断リレーマラソン。2001年(第24回)は、研ナオコさんが女性初のラン。2007年(第30回)は、萩本欽一さんが66歳で最年長ラン。2011年(第34回)は、徳光和夫さんが70歳で最年長記録を更新。

ただ、SNSが普及しはじめた2000年代後半以降、「何でこの人が走るの?」「高齢者や運動が不得意な人を走らせるな」などの否定的な声が増えていきました。さらにこの5年間は、それらの声や視聴率の低下を踏まえてか、思い切った変更が相次いでいます。

2017年(第40回)は、ブルゾンちえみさんが走りましたが、「放送当日まで本人にも未発表」というサプライズ演出。2018年(第41回)は、みやぞんさんが初のトライアスロン形式に挑戦。2019年(第42回)は、近藤春菜さん、よしこさん、いとうあさこさん、水卜麻美アナの女性リレーを行い、水卜アナは放送当日発表でした。

ここ3年間リレー形式だった理由

コロナ禍に突入した2020年(第43回)は、高橋尚子さん、土屋太鳳さん、吉田沙保里さん、陣内貴美子さん、松本薫さん、野口みずきさんが走った分だけ募金する「24時間募金ラン」を実行。2021年(第44回)は、岸優太さんと城島茂さんのジャニーズ2人とアスリート8組がリレー形式で走りました。

2019年からの3年間がリレー形式だったのは、「猛暑の中、苦悶の表情を浮かべながら長距離を走らせる」ことへの批判が増えた影響があったのではないでしょうか。また、以前から業界内では、「人気や“旬”という点で、1人でチャリティーマラソンを担えるタレントが減っている」ことをあげる声もたびたびあがっていました。それ以外にも「高齢者や運動が不得意な人を走らせるな」という批判は根強く、ランナーの人選は年を追うごとに難しさを増していたようです。

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