「24時間テレビ」マラソンに感じるモヤモヤの正体 今年はEXIT・兼近大樹さんが5年ぶり単独ラン
しかし、今年は5年ぶりに兼近さんが単独ランに挑むことが発表されました。この人選は兼近さんが日本テレビの重視する「コア層(13~49歳)、特に若年層を引きつけられるのではないか」という期待感によるものでしょう。さらに兼近さんは31歳と若く、野球経験があるなど運動能力も上々。また、チャラいキャラクターを生かして、「チャリティーマラソンをつらいものではなく、明るく楽しいイメージに上書きしたい」という狙いがあるかもしれません。
ただ、それでも視聴者にしてみれば、「何で夏にマラソン?」「ギャラが高額なんでしょ?」などの疑念が消えたわけではないだけに、批判を消し去ることは難しいでしょう。
そして、5年ぶりに単独ランへ回帰した理由としてもう1つ気になるのは、昨年のリレー形式が盛り上がらなかったこと。昨年は東京オリンピックの開催直後だったことから、卓球の水谷隼さん、レスリングの川井梨紗子・有香子姉妹、バスケットボールの林咲希さんら8組のアスリートがランナーに選ばれ、岸優太さんと城島茂さんを合わせた10組が各10kmを走るリレー形式で行われました。
昭和のスポ根は受け入れられるか
ところが、もともと走れるトップアスリートたちであるうえに、走行距離が過去断トツで短かったため、「これくらい楽勝すぎる」「この人たち何で走ってるの?」などの声があがるなど、盛り上がりに欠けたまま終了。「24時間テレビ」全体の世帯視聴率は2005年(第28回)以降15%以上を記録し続けていましたが、昨年は12.0%まで落ちてしまい、「チャリティーマラソンもその理由の1つではないか」という声があがっていたのです。
もし関係者たちが、過去の成功体験や昨年の不振を踏まえたうえで、単独ランという形式に回帰したのなら、視聴者の感覚と乖離しているのかもしれません。実際、この十数年、さまざまな出来事や生活環境の変化などがあり、人々の意識は大きく変わりました。
たとえば、コンテンツはネットの普及で、テレビから受け取るのではなく、自分で選んで見るようになった。東日本大震災以降、全力で頑張るより、肩の力を抜いて自分らしく生きることを優先する人が増えた。コロナ禍が長期化したことで、困難に挑むより安全なほうを選ぶようになった。もちろんすべての人がそうではありませんが、これらの意識変化はチャリティーマラソンの見方にも影響を及ぼすのではないでしょうか。
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