ゴールドマンですら弱腰?黄昏のウォール街

リスクの高い取引を避け、給与も大幅カット

(写真:Sam Hodgson/The New York Times)

資本額を増やすためには投資家からさらに資金を調達したり利益を留保するという方法がある。だがそれではたいていコストが発生して株主に渡るはずの利益が減少する。

この資本規則が金融機関に与えた影響はというと、なるべくリスクが低い業務、たとえば年金投資の運用部門などに力を入れ、トレーディングはあまり重視しないという傾向が生じてきた。金融機関に対してすこぶる批判的な人たちに言わせれば、資本規則は内容が不十分だし日々の業務を変えさせるまでには至っていない。だが大方の意見として、資本規則は金融機関にすべての業務分野の見直しを強いるとともに、金融危機以前またその直後に業界に見受けられた自信をかなり打ち崩したと言われている。

「金融産業に変化を組み込んでいるのだ」と、最大手の規模縮小を求めている著名なアナリスト、マイク・メイヨーは言う。「10年後に振り返ってみれば、資本規則が最大の影響を及ぼしたとわかるだろう」。

高リスクの取り引きに手が出せない

この種の変化の好例がモルガン・スタンレーだ。売上高にトレーディング業務が占める割合が、金融危機の前には70%近くだったのに昨年は50%を割った。業界全体がこういう移行過程にある。国際通貨基金(IMF)の資料によると、金融機関では危機前の2006年に資産の41%がトレーディング勘定に含まれていたが、2013年にその割合は21%まで減少した。

コネチカット州に広々とした立会場を構えた外資系銀行各社も、まだ10年にも満たないのに建物ごと売却しようとしたり、ほかの目的に転用することを考えるようになった。ただし住宅ローンや中小企業への貸し付けといった、実体経済にかかわる業務にはさほど響いていない。ウォール街の部門は縮小されても、これらの分野では業務拡大が勧められているのだ。

資本に関する新しい条件は、関係の深い尺度としてのレバレッジの条件とともに、さまざまな方面から波のように打ち寄せる。スイスのバーゼルで世界各国の中央銀行が構成する監督委員会(通称バーゼル委員会)が2011年に打ち出した規則「バーゼル3」は、金融機関が2015年のうちに到達すべき自己資本の最低水準を定めた。ただしその実施期限は延長された。

FRBも含めて多くの国の中央銀行が、国内の金融機関は自己資本をもっと増やすべきであり、バーゼル3の条件も期限より早く満たすべきだと主張している。過去数カ月の間にFRBは、相互関連性が高い金融大手に対しては中小の金融機関より高めの資本保有を要請するという考えも示した。

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