日経平均、円安に頼らなくても上昇へ 今の「重要な変化」を見逃すと勝ち抜けない
しかし、一部の専門家や投資家は、まだ変化についていけていないようだ。
筆者は、前回のコラム「日経平均、『モグラ叩きゲーム』終了へ」(2月8日)ではこう予測した。つまり、日銀の追加緩和はないだろうから、円相場が多少円高気味になるかもしれない。だがそれは静観していればよく、日本企業の収益の堅調さなどから、日経平均は上値をうかがい1万8000円台再奪回の可能性を見込む、と述べた。
幸いにしてその通りの展開となったわけだが、拙稿に対しては、「円安にならないのに株価が上がるというのは不可解だ」、という見解もあったようだ。
また専門家の間では、18日(水)の日銀金融政策決定会合後の記者会見で、黒田総裁が追加緩和を大いに予想させることを何か言ってくれないか、それで円安に振れて株価が上がってくれないかと、ありもしない期待を述べている向きもいたようだ。
今後も日本株はジリジリと上昇へ
こうした「円安=株高」の思考にいつまでもとらわれ、市場で起こっている変化を感じられなければ、これからの相場展開のなかで生き残っていくことは難しいのではないか。
これも前回の拙稿で述べたように、昨年11月から進んだ円安が輸出企業の収益にフルに寄与するのは、為替先物予約などにより後ずれし、今年の1~3月期からだろう。原油も、タンカーで運び、さらに石油製品価格の下落につながるまで時間差があるため、家計や企業に対するプラス効果が目に見えるのは、今年からだ。
5月上旬までの決算発表で、今以上に円安・原油安が進まなくても、円安と原油安が時間差を持って企業業績に寄与したことを確認し、それを市場が「織り込み切る」までは、国内株価はジワジワと上昇基調をたどるだろう。
こうした地道なシナリオは、「つまらないですね」、とよく言われる。だが、逆に言えば、耳目を引き、人を驚かすような説が当たるとは限らないのである。
「ギリシャ支援延長の合意」という外部環境の好転もあり、今週の日経平均は1万8300円~1万8800円を予想する。
*(解説)=「移動平均」を計算するように、それぞれの日に終わる30日間の日経平均と米ドル円相場の「相関係数」(1に近いほど株高=円安の度合いが強い)を計算すると、昨年末頃は円安と株高が並行的に進んだため、1に近い数値だった。しかし今年に入って相関係数は低下をみせ、2月9日に終わる30日間では、「ほぼゼロ」(両者の動きがほとんど無関係だったことを意味する)に達した。その後も比較的低水準だ。
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