サザビーがイケてるブランドと組めるワケ 創業者が語る「有力ブランドを射止める秘訣」

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東京・渋谷区にあるサザビーリーグの本社。1階にロンハーマン千駄ヶ谷店がある(撮影:大澤誠)

――どういったキャラクターがサザビーリーグの強みなのか。

ベンチャースピリットがある。それは「無」から「有」に変えられる力だ。半歩先のぜいたくというフレーズを作って、”前向きな生活者”に人生の刺激を与えることが目的だ。それは衣食住のカテゴリーを超えて、商品であったり、お店であったりする。

いろんなことを仕掛けていくことで、これまでにないマーケットを新しく作っていくという、いいDNAがある。自分たちがこうしたいという人たちが集まってくるのが強みだ。

サザビーリーグの「リーグ」という社名にはこだわりがある。「グループ」というのは嫌いだった。そこには多彩な事業をやっているチームが存在し、各々のフィールドで自分が“メジャーリーグ”になるんだという人が集まって、新しい視点が生まれる。

われわれの会社には、自分で夢をみて、試そうという人にチャンスがある。前向きな生活者にサザビーリーグが応えていくためには、自分たちが仕事を楽しまないといけない。仕事が作業であってはいけない。

欧州滞在の3年でわかったこと

すずき・りくぞう●1943年生まれ。大学卒業後、欧州の滞在を経て、72年にサザビー(現・サザビーリーグ)を創業。2008年より取締役会長(撮影:大澤誠)

――そうした社内文化を作り上げてきた背景は?

私は大学卒業後、就職をせずに欧州に26歳から29歳まで行っていた。三男坊だったからプレッシャーもなかった。自分が好きな事ができるまで仕事しないと決めて、いろいろ見て回った。これがある意味大きかった。

そこで多くの人脈が作れた。それは何かについてバーティカルにということではなく、フラットなネットワークだ。社長の森(正督)もそうだが、プロとしてのキャリアパスがなかった。

普通なら大学を出て企業に入るが、そういうものがなかったのが逆に良かった。結果的に富裕層でなく普通の生活者に対してモノ、コトを広めるというビジネスモデルに行き着いた。

欧州はこれまでの積み重ねた歴史があり、いろんな意味で深い。日本は車や家電製品を持つことに価値を見出すが、反対に欧州は地味だ。ある意味で生活の質はずっと深い。そこで建築、歴史、レストラン、ホテルなどライフスタイル全般をくまなく体験することに時間を費やし、日本と欧州のいいところの違いを認識してきた。

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