サザビーがイケてるブランドと組めるワケ 創業者が語る「有力ブランドを射止める秘訣」

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スターバックスは一度、日本から撤退している(撮影:梅谷秀司)

――スターバックスの成功が特に大きかった。

当初、スターバックスはホテルマリオットグループと組んで成田で2店ぐらい出していた。だが、戦略もなく日本に持ってくれば当たるものではなかったので、すぐに撤退した経緯がある。その後、われわれと組んで20年前に日本に進出した。

スタバはもともと(鈴木氏の実兄である)角田(雄二)が見つけて話し合った。私が最終的に出て向こうと握手し、角田がスタバジャパンの創業社長に就いた。オペレーションをゼロから10年間やり、”企業的”になってからは、次々に新しい経営者に変わっていった。

結果をみれば、サザビーと組んだほうが、スタバにとっては「正確にわれわれの良さを伝えてくれる」ということだ。今ではゼロから始めた店舗が1100店ぐらいまで増えた。

ひとつにしがみつかない

――今でもスタバは好調だが、昨年、保有株をすべて売却した。

ウィン・ウィンの別れ方ができた。そこがわれわれのDNAだ。成功しているときはいいが、悪いと”骨肉”になり、何をやってもおまえが悪いと言い合いになる。いいときこそ前向きに手じまいができる。ひとつのアセットにしがみつくのはやめようと常に言っている。ベンチャースピリット、冒険心を持っていないといけない。

スタバは店舗も増えて一定の役割を終えた。一方で(スタバにかかわる企業が増えて)少しいびつな構造になったこともある。スタバが強くなるためには、一本化した方が、意思決定が早いということで売却した。あうんの呼吸だ。

――サザビーリーグは2011年にMBO(マネジメント・バイ・アウト)で上場廃止した。なぜですか。

結果的に経済メカニズムで上場というものは何だったのか、どういう利点と欠点があるのかという理解度が僕自身に低かった。ファッションビジネスは農業と一緒で、雨も降れば晴れのときもある。悪いときはじっと我慢しないといけない。

だが、上場するとそれが許されない。その不条理がまずひとつある。あとはベンチャースピリット、わがまま、冒険心、能動性といったわれわれの強みが上場には向いていない。そういうスピリットがなくなると当社の存在意義がなくなる。

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