美容ブランドの常識をぶち壊した彼女の逆転人生 コンプレックスを抱えていたからこそ成しとげた

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化粧をする女性
重要なことは結果に至るプロセスだ(写真:Fast&Slow/PIXTA)
<私は、ほぼ無一文の状態から自宅のリビングで会社を起こし、それを10億ドル以上で売却し、世界最大の化粧品会社のブランドで、初の女性CEOに就任した。美容業界が世界に示す女性のイメージを変える後押しをして、今では、きらびやかな雑誌のページを飾る。テレビ番組に顔を出し、『フォーブス』のお金持ちリストにも名を連ねる。(「はじめに」より)>

『Believe It 輝く準備はできてるか』(ジェイミー・カーン・リマ 著、森田理沙 訳、東洋経済新報社)の冒頭に書かれているこの部分だけを目にすれば、一般人とは異なる優秀な能力を持ち、チャンスにも恵まれた“選ばれし人”を思い浮かべるかもしれない。

いや、そうした見方は決して間違いではないだろう。これだけの偉業を成し遂げてきたことは、少なくとも絶対的な事実なのだから。

ただし見落とすべきでないのは、この文章が次のように続いていくことだ。

コンプレックスがもたらしたもの

<そんな有名人としての顔だけじゃない。本当の私の、本物の苦しみや本当の物語、見出しの裏に隠された学びの数々を見せよう。
不安や自己不信、体型不信、そして神様を疑う気持ちと格闘した、本当の私を。誰も私のアイデアを信じてくれないと感じた時には、数えきれないほど泣き寝入りして夜を過ごした、リアルな私を。まだダメだ、まだ痩せていない、まだ足りないという感情と闘う、リアルな私を。(「はじめに」より)>

つまり上述したような“成功”は、あくまでも“結果”でしかないということである。

『Believe It 輝く準備はできてるか』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

自宅のリビングで起こした「イットコスメティックス」は結果的に、アメリカ最大級の高級化粧品ブランドに成長した。しかも同ブランドは、100年以上の伝統を持つロレアルに12億ドルで売却され、だから彼女は「初の女性CEO」となることができたのだった。それは事実だ。けれども、本書で克明に明かされている重要なことは、“そこに至るプロセス”なのだ。

同社を起こす前、著者のジェイミー・カーン・リマ氏はテレビのニュースキャスターやリポーターとして働いていた。テレビに顔を出していて、しかもそののち化粧品ブランドを立ち上げたとなれば、多くの人は“テレビ映え”のする人物をイメージするのではないだろうか? だがその点において、彼女は抜きん出た存在ではなかったようだ(少なくとも自身ではそう感じている)。

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