日本も無視できぬ「ウクライナ代理出産」深刻問題 新型コロナとロシアの侵攻で子を引き取れない
活況を呈していたウクライナの代理母ビジネスは、新型コロナウイルスのパンデミックとロシアによる軍事侵攻で状況は一変した。ウクライナへの入国が困難となり、代理出産によって生まれた子どもを依頼者が引き取ることも難しくなった。
「代理出産で生まれた子どもを引き取ることができない。助けてほしい」
エージェントA社は、日本人夫婦からこんな相談を受けたとネットで報告している。それによると、この夫婦は依頼先のエージェントB社と連絡が取れなくなったため、別のエージェントであるA社に相談してきたという。
その時点で赤ちゃんは生後1カ月半。A社が調べたところ、赤ちゃんはキーウの病院で置き去りになっており、A社が病院から赤ちゃんを救出。最後はポーランド国境まで連れていき、日本人夫婦に引き渡したとしている。
各国の依頼者を悩ませる新型コロナと戦争
新型コロナウイルスと戦争で混乱するウクライナで代理母が産んだ子どもをどう引き取るか。この問題は今、各国の依頼者を大きく悩ませている。
中国の法輪功系メディア「大紀元」は、ウクライナから新生児を連れ去ろうとしたとして、入国管理局に中国人の男2人が逮捕された事件を報じている。子どもは中国人夫婦が依頼した代理出産によって生まれたという。ただ、赤ちゃんの身元を示す書類を所持していなかった。男の1人はキーウの大学生だったとしている。
新型コロナウイルスの流行が始まった2020年、キーウで代理出産を手掛けるクリニック「Bio TexCom」は、依頼者が引き取ることができず、ウクライナにとどまっている数十人の赤ちゃんがずらりとベビーベッドに寝かされた写真をホームページに掲載した(下写真)。
「赤ちゃんたちは専門のスタッフが24時間世話をしており、安全です。クリニックは1日も休まず医療活動を続けています」とするビデオも公開した。ビデオではスタッフが赤ちゃんを抱っこしたり、ミルクを飲ませたりしている。
依頼者の国籍はフランスやドイツ、メキシコ、ポルトガル、中国などさまざまだ。ロシアによる軍事侵攻が始まると、依頼者の不安を和らげようと、多くの物資を保管したシェルターの動画も公開した。
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