日本人がサンマを100円で買えない本当の理由 環境変化や中国漁船は不漁の主原因になるのか

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過去最低の漁獲量が更新され続けているサンマ漁。不漁の原因としてよく出てくる理由は、次のようなものです。「海水温の上昇」「日本の沿岸に回遊する前に、外国漁船に漁獲されてしまう」「マイワシが増えたため、サンマが寄り付かない」などです。

それらに原因がないとは言いませんが、本質的な不漁原因が何なのか?は、ほとんど伝えられていません。そこで具体的なエビデンスをもとに解説します。

海水温の上昇が原因?

もし海水温が、サンマがたくさん獲れていたころの温度に戻ったら、再び大漁の日々が戻るのでしょうか? 残念ながら答えは明確にノーです。

(出所)国立研究開発法人水産研究・教育機構「サンマ長期漁海況予報」

例えば、上図のように北海道沖に「暖水塊」(だんすいかい)があり、これが来遊を妨げているという説があります。暖水塊とは周囲より温度の高い海水の塊のこと。サンマ来遊の妨げになってはいないとは言いません。しかしながら、昨年(2021年)のサンマ漁場の94%は、その暖水塊のはるか沖合の公海だったのです。

境界線は排他的経済水域(EEZ)を示している(出所)国立研究開発法人水産研究・教育機構「サンマ長期漁海況予報」

上図で比べてみるとわかりますが、ここで問題なのは、日本の沿岸に回遊して来ないというより、公海も含めたサンマの資源量そのものの減少であることをご理解ください。つまり、海水温が下がっても、そもそもサンマ資源が激減しているから、漁獲量は急回復しないということなのです。

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