「甘い親」「厳しい親」子どもの成長に生まれる差 脳にとって「親の厳しさ」はあまり意味がない

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もしも、あなたが話していることを理解できなくて、お子さんが癇癪を起こしているのなら。あなたがまずすべきは、話す速度を落としてあげることです。

正確で論理的な言葉を選ぶことに気を配るよりも、むしろ、ゆっくりと静かな声でコミュニケーションを心がけてみてください。そのほうが、お子さんと親御さん、双方の気持ちの高ぶりを抑えるのにも効果的です。

子どもに対して、大きな声でたたみかけるような早口で、ついあれこれ言ってしまう親御さん、子どもに厳しい言葉を発するのが務めだと思っている親御さんは、この令和の時代になっても一定数いらっしゃいます。

しかし、甘い親と厳しい親、子どもの脳の成長にいいのはどちらかと問われれば、脳の専門医という立場から考えるに、間違いなく甘い親のほうがいいでしょう。

なぜなら脳は、楽しいこと、うれしいことが大好きだから。楽しい気持ちのときにしか、脳は力を発揮できませんし、成長することもできません。だから脳にとって「親の厳しさ」はあまり意味がないのです。

もし「甘やかす」という言葉に抵抗を感じるのであれば、「楽しい場面をたくさんつくる」のを心がけてみてください。なにか子どもにとってネガティブなことを伝えるときも、怖い顔で厳しく言うより、まず楽しい雰囲気をつくったうえで指摘するほうが、脳はスムーズに受け取れます。

厳しい言葉は、脳に入っていかない

大人の脳でも、厳しい言葉や表情で圧力をかけられれば萎縮し、適切な思考や判断ができなくなります。こうした場面が日常的に起きていると、脳はなかなか発達できません。

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子どもの未熟な脳が伸びやかに成長していくためには、いつも自然体でいられて、安心できて、楽しい気分で、思考や行動ができる環境が不可欠です。

もし、お子さんが逆ギレしたり、不機嫌になったり、泣いたりしてしまう場面が日常茶飯事なら、「私は日頃、怖い顔をしていないだろうか」「厳しい態度をとっていないだろうか」と振り返り、親子のコミュニケーションを変えてみてください。

怖い顔をしても、厳しいことを言っても、脳にはなにも伝わらないということ。むしろ、子どもが楽になるような表情で接することが、脳の成長には有効なのです。

加藤 俊徳 医学博士/「脳の学校」代表

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かとう としのり / Toshinori Katou

脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。脳科学・MRI 脳画像診断の専門家。1991年に、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測fNIRS(エフニルス)法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科で脳画像研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。加藤式MRI 脳画像診断法を用いて、小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。得意な脳番地・不得意な脳番地を診断し、脳の使い方の処方を行う。著書に、『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)、『一生頭がよくなり続けるもっとすごい脳の使い方』(サンマーク出版)、『1日1文読むだけで記憶力が上がる!おとなの音読』(きずな出版)など多数。

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