「事実と意見を混同する人」がなんとも危うい理由 ただの個人的意見を「根拠」にしてしまっている
たとえば、個人的な意見を根拠として「今の若者はテレビを見ずにYouTubeだけ見ていると思うので、YouTubeに広告を出しましょう」などと主張するのは問題です。この場合には、若者によるテレビとYouTubeの視聴時間の差について調べてみるなど、きちんと事実を提示することが重要です。
ハンガリー出身の作家アゴタ・クリストフが書いた『悪童日記』(早川書房)という作品があります。この作品には、戦時下で食べ物もない大変な状況に置かれた双子の少年が、独学で読み書きを学び、さまざまな訓練をする姿が描かれています。
物語は、ノートに書いた「作文」という体裁で書き進められています。ノートには意見(主観)を排除し、事実だけを書かなければならないというルールがあります。そうして事実だけを書く訓練を通じて、少年たちはリアリストに成長していくのです。
事実と意見の区別によって人間はどう変わるかを考える上で、非常に示唆に富んだ物語だと思います。
事実と意見を区別する習慣が身に付くと、ビジネスの場で会議を円滑に進行する能力なども備わります。「ここまでは事実ですね。では、ここからご意見をどうぞ」などと整理しながら発言を促すことで、仕事が円滑に回るようになることでしょう。
また、意見が対立したとき、「この事実だけは共有できますか?」などと事実を共有することを通じて、お互いの認識を近付けていけるようにもなります。
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