あらびき団が「ゴールデンに向かない」納得理由 TBSの過去番組と比較することで見える秀逸さ

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そのあたりを踏まえてのことか、今回は大道芸や体を張ったネタが目立ち、番組に統一感があった。やはり深夜帯にこそ魅力が発揮される番組なのだろう。

ブレーク前に、「キング・オブ・あらびき」と称されるほど『あらびき団』に出演していたハリウッドザコシショウはこう語っている。

「あの番組(筆者注:『あらびき団』)って、東野幸治さんと藤井隆さんがどんなに荒いネタでもイジってくれて、笑いになるじゃないですか?(中略)でもそれをわかってない奴らが、その笑いが全部自分だけの実力と勘違いして、番組のまんまよそに行くと大スベりします。結局、自分たちで完結していないとダメなんです」(2022年8月6日に「日刊サイゾー」で公開された「ハリウッドザコシショウ『あらびき団に出ているだけでは売れないと思っていた』」より)

MC陣のコメントが秀逸すぎる

MC陣のコメントが秀逸であるがゆえに、視聴者は粗削りなネタとセットで面白く思えてしまう。この点は、『あらびき団』の最大の特徴であり最大の弱点とも言える。だからこそネタを披露する演者は、別の番組での気付きが多いのかもしれない。

TBS系列のバラエティー番組の中でも、ひと際強烈な個性を放ってきた『あらびき団』。それゆえに番組の方向性は限られるだろうが、だからこそより尖ったパフォーマーのさらなる発掘に期待したいところだ。

鈴木 旭 ライター/お笑い研究家

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Akira Suzuki

2001年から東京を拠点にエモーショナル・ハードコア/ポストロックバンドのギターとして3年半活動。脱退後、制作会社で放送作家、個人で芸人コンビとの合同コント制作、トークライブのサポート、ネットラジオの構成・編集などの経験を経てライターに転向。現在、『withnews』『文春オンライン』『現代ビジネス』『FRIDAYデジタル』といったウェブ媒体、『週刊プレイボーイ』(集英社)などの紙媒体で記事執筆中。著書に著名人6名のインタビュー、番組スタッフの声、独自の考察をまとめた『志村けん論』(朝日新聞出版)がある。

 

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