野村HD4-6月純利益は前年同期比97%減の17億円 世界的な株価下落・金利上昇を跳ね返せず
国内証券最大手の野村ホールディングスが3日発表した2022年4ー6月(第1四半期)連結決算によると、純利益は前年同期比97%減の17億円だった。株価下落や金利上昇など厳しい事業環境の中で、特に米運用会社アメリカン・センチュリー・インベストメンツ(ACI)など投資先の評価損計上が業績の重しとなった。
純利益はブルームバーグがまとめたアナリスト4人の予想平均213億円を下回った。
部門別の税前利益は、運用と投資関連を管轄するインベストメント・マネジメント部門が117億円の赤字(前年同期は449億円の黒字)に転落。ACI株の評価損185億円を計上したほか、野村キャピタル・パートナーズの投資先企業の評価損もあり、投資損失は計231億円に上った。同部門の赤字は2四半期連続で、前四半期の損失もACI株の評価損失(188億円)が主因。
そのほか、リテールを担う営業部門が前年同期比74%減の49億円、ホールセール部門は253億円の黒字(同284億円の赤字)だった。
北村巧財務統括責任者(CFO)は同日のオンライン会見で、「グローバルな金利高、株価の調整もあって評価損失が大きく出てしまった決算だった」と総括した。
海外拠点の税前損益は、米州が216億円の赤字(前年同期は366億円の赤字)、欧州が19億円の赤字(同53億円の赤字)、アジア・オセアニアが83億円の黒字(同66億円の黒字)。合計では152億円の赤字(同353億円の赤字)だった。海外部門の赤字は2四半期連続となる。
米モーニングスターのアナリスト、マイケル・マクダッド氏は「債券トレーディング以外はすべてがお粗末な決算だったという印象だ」と指摘。
ブルームバーグ・インテリジェンスの田村晋一シニアアナリストも「投資損失の大きさに驚いた残念な決算だ」と述べた。「本業であるリテール、ホールセールは環境の悪い中で同業他社と比べても健闘していたのに、ACI株式の評価損一つがすべてを吹き飛ばした」と分析。
その上でACIへの投資について「ヘッジをするなどして悪い時でも損失を出さないような投資にすべきだ。野村HDはプライベート領域を強化しているが、公募市場に比べて変動が大きく、上手に運営できるか今回の数字を見て心配になる」と懸念を示した。
(アナリストコメントを追加するなど全体に加筆しました)
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著者:谷口崇子、中道敬
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