1戸300万円不足のマンションも「修繕費」の闇 資金不足を背景に修繕を後回しにする動きも
修繕積立金が足りない?
「面倒なことを先送りにしてきたツケが、今になってまわってきていることを実感します」
神奈川県郊外で、築40年のマンションに住んでいるAさん(64)。経年劣化が進み、ほころびが目立ってきているが、多くの住民がそうであるように、Aさんも今の住まいが終のすみかだと決めている。
そんな中、Aさんはマンションの管理組合の理事に就任。正直なところ面倒だったが、輪番制で全員共通のルールのため、辞退するわけにはいかない。定年再雇用で時間のゆとりもあったことから、「どうせやるなら、しっかり取り組もう」と理事会に臨んだ。
前期の理事からは、「修繕工事はしたほうが良いという方向で話していたが、話がまとまりきらなかった」との申し送りがあった。住民が積み立てている修繕積立金が足りないのが原因だという。
業者に建物の状態を見てもらったところ、壁のひび割れや外壁のタイルの浮きなどが進み、地震が起きると危険な状態だと指摘された。Aさん宅で水回りの不具合が出てきているように、給水管の更新や給水方式の変更など、給水設備の工事も速やかに行うべき項目として挙げられていた。Aさんは、それらの修繕に必要な不足金額を見て愕然とした。試算すると、1住戸およそ300万円にも上るのだ。