1戸300万円不足のマンションも「修繕費」の闇 資金不足を背景に修繕を後回しにする動きも

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マンションを購入しようとする人は、自分たちで管理していこうとする当事者意識が必要だ。新築マンションでは、分譲会社系列の管理会社が長期修繕計画を作成し、それを管理組合が承認するケースが多い。しかし分譲会社は、購入者の費用負担が少ないほうが売りやすいため、当初の修繕積立金を低めに設定し、一定年数ごとに引き上げる方式をとるところが増えている。前出の土屋さんは言う。

週刊朝日 2022年7月29日号より

「住民が向き合っていかなくてはいけない管理について、分譲会社は、もっとしっかりアナウンスするべき。買ったら他人事ではなく、自分たちの手で管理を続けていかなくてはいけないことが購入時に伝わりきっていない傾向がある」

今からできる対策は?

今からできる対策は、積立金の状況を確認しながら、今後いつどんな工事が必要なのかを正確に把握することだ。場合によっては、修繕計画を見直す必要もある。計画に応じて、修繕工事のための積立金を割り出し、コツコツとためることが欠かせない。

だが、建築の専門家ではない管理組合が、分譲会社の作成した長期修繕計画で十分なメンテナンスを行えるかどうかや、修繕積立金の額やその後の引き上げ幅が適切かどうかを判断するのは難しい。土屋さんは言う。

「外部の専門家やコンサルタントに依頼して確認してもらい、必要があれば見直すのが望ましいでしょう」

外部の専門家を登用する動きは、管理組合の運営にも見られる。住人の高齢化により、管理組合の活動に支障が出ないよう、外部の専門家が管理組合の理事に就任することもできるのだ。国交省が全国の管理組合を対象にアンケート調査を行ったところ、約3割の組合が、外部専門家の活用を検討または将来検討したいと答えている。

「ただし、専門家を活用するには、相応のコストがかかります。住民が高齢化してからでは、コストを負担する余裕がなくなることも考えられる。問題が深刻化しないうちから早めに専門家の協力を仰ぐことが必要かもしれません」(土屋さん)

マンションを“負動産”にしないためには、早めの点検と行動が肝心だ。

(フリーランス記者・松岡かすみ)

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