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イノベーションの成功確率は失敗の数が左右する 失敗への許容度は文化でなく制度設計の問題

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  • 内田 和成 東京女子大学特別客員教授、早稲田大学名誉教授
  • 牧 兼充 早稲田大学ビジネススクール准教授
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:最近のアカデミックの定量研究には、未来を予測する研究と、過去を見て因果関係を調べる研究があります。AIを含めた予測をするための研究の場合、決定係数が高いほうがよいとする事例も増えています。だから、決定係数も見ますというのが1つ目の答えです。

それから、決定係数が高くても、自分で制御できない変数、たとえば性別が重要だとわかっても、性別は自分で変えることはできない。実務に役立ちたいと考える学者が重視するのは、実務家が操作可能な変数であるかどうか。その結果を用いて10%でも成功確率が上がるなら、実務的に価値があると考えます。

学者の研究よりもセブン-イレブンが先行

内田:それは変数の置き方の話ですよね。それよりも私が言いたいのは、日本ではもともと、そういうのを感覚で上手にやってきたことです。

たとえば、シーナ・アイエンガーさんの『選択の科学』では、人間は選択肢が多ければ多いほど迷うので、選択肢は少ないほうがよいと科学的に実証しています。ところが、そのはるか前に、セブン-イレブンでは、店舗でそういう実験をしてきました。

仮に棚にペットボトルのお茶を10種類並べられるとします。マーケティングの世界では、消費者は選択肢が多いほど喜ぶから、品揃えが多いほど良いと考えるので、お茶が5種類あるなら、棚に2本ずつ置くことになります。しかし、コンビニのような狭い店で、それが本当に良いことなのか。

そこで3種類に絞って、たとえば「おーいお茶」5本、「伊右衛門」3本、「綾鷹」2本で実験してみる。すると、選択肢が少ないほうが売れることがわかったから、それを店で実践する。対外的に発表されていなくても、そうやって実証して品揃えを決めている例は、実務の世界ではたくさんあります。

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