こんなに大変!ペット介護の知られざる現実 仕事との両立をどうするか?

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その1年後、再び腫瘍が見つかり、2度目の手術に。もう後脚にはほとんど力が入らないニコは、自宅では前脚だけで歩き、散歩時は犬用車椅子をつけるという生活を送っている。

「引っ越して、気持ちが本当に楽になりました。容体が急変したら駆けつけられるという安心感ができましたから。ニコが不調のときは、昼休みにダッシュで会社から帰宅して介護をすることもあります」(伊知子さん)

ペットの介護をきっかけに、退職に追い込まれ、起業を経験した人もいる。

菅原夫妻は毎日数回、カブに排尿や排便をさせる。そのほか、カブの下半身を冷やさないため、後肢を曲げ伸ばす1日100回のマッサージも大切な日課だ(撮影:臼井京音)

「まさか、愛犬が3歳のときから介護が必要になり、会社を辞めることになるなんて夢にも思っていませんでした」

と語るのは、菅原奈美さん(51)だ。

6年前のある夜、フレンチ・ブルドッグのカブが、悲鳴をあげて失神した姿を目の当たりにした夫の芳明さん(48)は、頭が真っ白になったという。菅原夫妻には当時、犬が椎間板ヘルニアにかかるという知識すらなかった。口こう吻ふんの短い犬種は麻酔のリスクも高いと言われ、手術中は愛犬の死すら覚悟した。

「結局、もう歩けなくなりましたが、椎間板ヘルニアを切除する手術が無事に終わり、痛みがなくなって生きて戻ってきてくれただけでも良かった」

肩の荷が下りたような

しかし、退院後から始めた介護のため、奈美さんは当時勤めていた化粧品会社を退職した。自分の力で排尿ができないカブのために、1日に3~5回、尿道を圧迫して排尿をさせる必要があるからだ。

追い打ちをかけるように、カブはアトピー性皮膚炎を発症。かゆみや思いどおりに動けないことへのストレスでカブがイライラする様子を見て、奈美さんは心が沈むこともあった。

しかし、カブの介護やアトピー性皮膚炎の看病がきっかけで、自宅を職場に、犬や人のためのサプリメント販売の会社を立ち上げることになった。

「やりがいのある新しい仕事を得られたのは、カブのおかげ。仕事やブログなどを通して、犬の看病や介護で困っている方に、自身の体験で得た知識を伝えられるのもうれしい」

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