マンションのブランド戦略が本格化したのは約20年前だったと思う。事業主別マンション発売戸数で、大京(ライオンズマンションシリーズ)が2006年までの29年間連続して全国第1位となっていた。大京が販売力を中心に伸びたのに対して、購入者がインターネットでの情報共有を進める中で、その売り方に批判が集まっていた時代でもある。
そこで高品質で高級なマンションに魅力を感じてもらうブランド戦略が台頭し始める。販売戦略からマーケティング戦略への転換と言ってもいいだろう。このブランド戦略は相場よりも高値で売却する切り札にもなり、用地仕入れでの競争優位の源泉になった。しかし、そのブランド戦略も曲がり角を迎えようとしている。
大手のマンションが値下がりしにくい法則性はない
分譲マンション大手7社(住友不動産、大京、東急不動産、東京建物、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス)は、「メジャーセブン」と称している。
この中でも、この20年でブランド名が変わった売主は4社に及ぶ。野村不動産のプラウド、東京建物のブリリア、東急不動産のブランズ、三菱地所レジデンスのザ・パークハウスがそれだ。
ブランド戦略はマンションデベロッパーにとって重要な事業戦略の中核と位置づけられ、ブランドを中心にコンセプト・品質などが標準化されている。
ブランドはマンションの資産性を左右する「法則性」には足りえていない。法則性とは、例えばタワーマンションは値下がりしにくいように、再現性があることを指している。メジャーセブンのブランドのマンションが総じて値下がりしにくい、ということはない。
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