マンション「大手物件は資産性高い」が大誤解の訳 アンケートで浮き彫り「ブランド戦略」の限界

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そこで、マンションのブランドとは何かという話になる。

それは購入満足度に表れている。メジャーセブンのマンション購入者では「非常に満足」が41%で、メジャーセブン以外の27%より高い。「購入満足度に売主・ブランドはどれだけ影響していますか?」という設問に対して、メジャーセブンでは「非常に影響した」が33%、「多少影響した」が51%で、メジャーセブン以外の各10%、39%より高くなっている。

しかし、総戸数の多い大規模物件やタワー物件を多く含むことになる複数売主の物件ではメジャーセブンとほぼ同じ満足度となっている。ここから、小規模の単独売主の物件では、売主が大手であることが購入満足度にプラス要因と考えたほうがいいだろう。

イメージ訴求に終始する戦略に疑問符

メジャーセブンのブランドは一定の価値を持っているが、その情報共有はさほど行われていない。

「売主の姿勢やブランドの説明を受けたことがありますか?」という設問には、説明を受けて「充分理解している」が37%にすぎず、「説明を受けたが正確に覚えていない」が38%で最多となり、「説明を受けていない」は25%にもなる。そもそもブランドの意味を充分に理解していない人が63%もいて、ブランドは単なるイメージでしかない。

こうなると、そうしたイメージを訴求するための広告に終始するブランド戦略には疑問符が付く。そのブランド認知度にかける広告コストは販売価格に乗ることになるし、その意味は大きくはない。それならば、広告を打つよりも購入希望者に自分たちのブランドのこだわりを余すところなく伝えて、理解してもらったほうがいい。

コロナ禍におけるマンション販売では、オンライン商談も増えた。そのための動画やVR内覧ツールがオンラインで提供されることが増えているからこそ、いつでもどこでも見てもらえるコンテンツとしてのブランド伝達戦略を丁寧にやっていくことが売主・買主双方の満足度につながると私は考えている。

沖 有人 不動産コンサルタント

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おき ゆうじん / Yujin Oki

1988年、慶應義塾大学経済学部卒業後、監査法人系・不動産系のコンサルティング会社を経て、1998年に現スタイルアクトを設立。住宅分野において、マーケティング・統計・ITの3分野を統合し、日本最大級の不動産ビッグデータを駆使した調査・コンサルティング・事業構築を得意とする。設立当初から運営する分譲マンション価格情報サイト「住まいサーフィン」の会員数は30万人以上。『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書)、『タワーマンション節税! 相続対策は東京の不動産でやりなさい』(朝日新書)など著書多数。

 

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