マンション「大手物件は資産性高い」が大誤解の訳 アンケートで浮き彫り「ブランド戦略」の限界

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新築マンション市場では物件価格の高騰が供給戸数の減少を招く。最も供給が多かった時代から比較すると、現在はすでに3分の1程度になっている。大手といえども、供給実績を維持するために、多くの大規模物件がJV(ジョイントベンチャー)と呼ばれる複数売主の提供になっているので、ブランド自体が物件名に付かないことも多くなった。

そんな折、分譲マンション購入予定者向け無料会員制サイト「住まいサーフィン」の会員にマンションブランドについてアンケートを行ってみた。「売主・ブランドよりも重要性が高い項目は何ですか?」と聞いた結果は衝撃的なものだった。複数回答で、多い順に以下のようになる。

①アドレス(立地)          78%
②駅徒歩               69%
③資産性(資産価値が落ちにくいこと) 58%
④生活利便性             53%
⑤周辺環境              48%
⑥通勤・通学のアクセスのよさ     41%
⑦規模(総戸数)があること      19%
⑧外観やランドマーク性        17%
⑨共用部の充実            11%
⑩タワーであること            6%

3位に資産性が入るものの、この資産性も立地が最も影響していることは会員の多くはわかっているはずだ。そのうえで、何と6位まで立地に関する項目が並び、78~41%がブランドより重要と回答している。物件探しはまずは立地から探す証拠でもある。

7位以下には、資産性に影響を与える物件属性である大規模やタワーなどがあるが、その割合は19~6%に過ぎず、立地に大きく水を空けられている状況である。

この優先順位は、メジャーセブンの入居者、複数売主の物件の入居者、大規模・タワー物件の入居者という物件属性で変わったりもしないし、年齢・性別・年収などでも大きく変わることはない鉄板の法則性となっている。ブランドより立地が優先ということに間違いはない。

ブランドに対しての強いこだわりは感じられない

このブランドに関するアンケートで「次も同じ売主・ブランドで買いたいですか?」という設問も聞いている。「必ずそうしたい」が3%にすぎず、「できればそうしたい」の29%を加えても3分の1に届かず、「どちらでもない」が59%と大半を占める。

「できればそうしたくない」が5%、「絶対そうしたくない」が1%で、合わせて6%なので、不満を抱いている人は少ないものの、そのブランドに対しての強いこだわりは感じられない。

一般的に、ブランド戦略は頻繁に購入する消費材に用いられることが多く、そのリピート率はブランド戦略の成否を表す試金石になっているものだが、マンションの場合にはそうではなさそうだ。

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