Xディアベル・ネラから感じたドゥカティの鼓動 世界限定500台、貴重な1台の走りを体感する

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フロントのブレーキシステム(東洋経済オンライン編集部撮影)
フロントのブレーキシステム(東洋経済オンライン編集部撮影)

もちろん、アクセラレーションに気を使えば問題ないが、現在一般的に市販されている最大サイズである240/45/17インチリアタイヤは、強烈なグリップでマシンを前方へと押し出すため、注意が必要だろう。

前後におごられたブレンボ製のディスクパッケージも秀逸だ。エンジンヘッドカバーに合わせてレッドに塗られたフロント4ポットキャリパーは、320mmのWディスクを容赦なく押さえつけ、マルゾッキのフロントフォークに適切な加重を与えてマシンを止める。

同じくリアブレーキもブレンボで、265mmのディスクによって安定した制動を発揮し、240幅のリアタイヤを減速方向へとグリップさせる。ちなみにリアブレーキキャリパーは2ポットになる。

走行モード選択の自由度も高い

240幅のタイヤを採用した迫力のリヤビュー(東洋経済オンライン編集部撮影)
240幅のタイヤを採用した迫力のリアビュー(東洋経済オンライン編集部撮影)

このXディアベルは、クルージングモデルとしての安定性能を兼ね備えた、スポーティーなモデルだ。ライディングモードは、先に述べた「スポーツ」に加え、「ツーリング」と「アーバン」が用意され、実際のところはアーバンモードで事足りるだろう。また、これもドゥカティが先駆者と言えるのだが、各ライディングモードに対して、タイヤのスリップ率をコントロールするトラクションコントロールと、減速時のABSの介入度も任意で作り込める。

市街地から高速道路と走るにつれ、その存在感は多くの通行人やクルマに乗る人から向けられる視線でそのレベルを感じられる。ディアベルが発売されて10年が経過、筆者がはじめてディアベルに乗って感じたことは「鉄馬」であった。体前面で鼓動を感じ、下半身で一体感を生み、手綱……すなわちハンドルで道先を示す。その、人と馬という親和性の高い組み合わせの感性は、さらに強い絆で結ばれていることを改めてXディアベル・ネラで感じた。

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宮城 光 モータージャーナリスト

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みやぎ ひかる / Hikaru Miyagi

1962年生まれ。1982年鈴鹿サンデーオートバイレースに於いてデビュー3位。直後にモリワキレーシングと契約、1983年鈴鹿4耐で優勝、同年全日本F3クラスとGP250クラスに於いてチャンピオン獲得。1984年全日本F3クラス、F1クラスチャンピオン獲得。1988年HondaのHRCと国内最高峰GP500ccライダーとして契約。1993年より活動の場をアメリカに移し、全米選手権でチャンピオンになるなど、日本だけでなく海外でも活躍。1998年からは国内4輪レースでもその才能を発揮し、翌年の「4輪スーパー耐久シリーズ」ではチャンピオンを獲得する。また、世界耐久選手権シリーズ・鈴鹿8時間耐久ロードレースでは2003年より5年間ホンダドリームレーシングの監督を務めた経験ももつ。2016年には米国ボンネヴィルにおいて4輪車の世界最高速度記録を達成、世界記録保持者。開発車両ではTeam無限のマン島TT参戦車両・2輪電動マシン「神電」の初期からの開発ライダーを担当し2018年時点で5連勝中、2019年もチャレンジする。一方では、警視庁及び企業向け交通安全講話やライディング&ドライビング講師、専門学校講師などのほかに、 日本テレビのMotoGP解説者や雑誌などのメディアでレースやバイクの解説を務めるなど、多方面で活躍中。ホンダ・コレクションホールではホンダ歴代の2輪4輪グランプリマシンの維持管理テストレーサーを務める。無類のラジコン好き。

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