「ストレンジャー・シングス」が救うNetflixの危機 「オタク」「80年代」が13億時間視聴を生み出した

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ただし、「ストレンジャー・シングス」は挑戦作でもありました。ジャンルではSFホラーのくくりにあり、カルト的な人気を呼ぶ作品としてはNetflixの既定路線にありますが、田舎町に住む少年が裏側の世界のモンスターに遭遇し、大人たちの助けも借りながら、超能力を持つ少女イレブンが仲間と一緒に世界を救うというのが「ストレンジャー・シングス」の基本ストーリーです。ファミリー志向の高い作品とも言え、万人向けしそうなNetflixオリジナル作品はそのときまだ珍しかったのです。

知名度で頼れるのはウィノナ・ライダーのみ

しかも、作り手はダファー兄弟という当時は無名のクリエイターで、知名度で頼れるのは母親ジョイス役の女優ウィノナ・ライダーのみ。最終的に代表作になるとはNetflixも予想していなかったことは制作費にも表れています。グローバルヒットを狙ったハイクラスドラマの1時間当たりの制作費は一般的に1000万ドル、日本円にして約13億円と言われるなかで、イギリスのリサーチ会社Omdia調べによると、「ストレンジャー・シングス」シーズン1は1時間当たり600万ドル、日本円で約8億円ほどだったのです。

不器用な大人たちも登場する。メインキャラクターの母親ジョイス(右)と警察署長のホッパー(写真:Netflix)

結果はシーズン1から想定以上の反響でした。1時間当たり800万ドルに引き上がったシーズン2の制作費を見る限り、Netflixが「ストレンジャー・シングス」に期待し始めたことが伝わってきます。

これまで「ストレンジャー・シングス」シリーズはテレビ界のアカデミー賞にあるエミー賞をはじめ数々の賞で175以上ノミネートし、65回以上も受賞しています。栄誉ある業界評価のみならず、着実にファン層を拡大させていきました。これは、万人受けするために突き詰めた戦略が実を結んだと考えてよさそうです。

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