超スター軍団PSG日本ツアー実現の絶大な効果 メッシ・エムバペ・ネイマールの日本凱旋の思惑
「もちろん経済効果は大きいですが、今回の目的はそれがメインではありません。PSGはグローバル展開の中で日本市場を特に重視している。新たな基盤を作りたいという思いがあるからこそ、体験型イベントを多く含む日本ツアーに踏み切ってくれたんです」
こう語るのは、PSG招聘に尽力した広告代理店・CIRCUS(サーカス)の橋本久美・ロンドンオフィスCEOだ。
同社はADK出身の河野広一社長が2004年に設立。クリスティアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)を起用した「SIXPAD」のブランド展開、エムバペをグローバルアンバサダーに起用したメンズスキンケアブランド「バルクオム」のプロモーションなどを手掛けており、海外サッカー界と太いパイプを持つ。今回もそのネットワークを駆使してPSGに熱烈なアプローチをかけ、1年がかりで実現にこぎつけたという。
PSG日本ツアー実現の舞台裏
「1年前にメッシ選手がPSGに移籍し、盛り上がりを見せる中、何とか日本に呼びたいと可能性を模索してきました。今年はカタールワールドカップ(W杯)イヤーですが、W杯は夏ではなく冬。この時期がポッカリ空いていて、ここしかないというタイミングでした。コロナ禍が長引き、実現にはハードルがありましたが、入国制限が徐々に緩和され、今春には動き出し、正式に決定しました」(橋本氏)
川崎、浦和、ガンバ戦との3戦が組まれたのは、首都圏で2試合、関西圏で1試合という地域的要素が大きかったという。7月前半のJ1は中2~3日の過密日程が続いたが、下旬は日本代表が参戦中のEAFF E-1サッカー選手権開催で日程が2週間空いていた。そこで3クラブが協力し、PSGとのマッチメークが実現した。
川崎の鬼木達監督は「大勢の人々の中で試合ができて嬉しく感じた」と20日の試合後にしみじみと語っていた。コロナ以降の集客停滞に悩む日本サッカー界にとっても、PSG来日でサッカーへの関心を再び高められたのは朗報だ。世界基準を体感する貴重な機会を得られた選手たちも、新たな意欲と闘争心をかき立てられたことだろう。
そして、PSG側にとっても、日本の若い世代の関心を高め、ファン掘り起こしができたのはプラスと言っていい。
今回は小中学生の価格設定を割安にし、より多くの子供たちに見てもらえるような配慮も行った。試合チケット販売は抽選制を採用したが、10~20代の男性の申込者が最多。「ターゲット層にしっかりと響いた」と招致に動いたサーカス側は捉えている。
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