コロナ禍を経て「結婚と恋愛」に起きた意外な変化 恋人が欲しくなったという人は増えた?減った?

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3つめは「合理性」だ。デジタル技術の発展などより、合理的に生活しやすくなった。そのような社会に生きる若者は、目標にたどり着くまでに無駄を省き、最も合理性が担保されたルートを選択することに慣れている。

一方、恋愛は非合理的な活動とも言える。交際するまで、さまざまな過程を踏んでいかなければならないこともある。誰とでも付き合える「最短ルート」があるわけではなく、ときには相手との駆け引きを求められる。そのようにある種の非合理的な活動を受け入れる必要があり、若者の多くには恋愛がフィットしにくい部分もあるのだろう。

「大切なものに使う時間」の変化

4つめは「大切なものに使う時間」だ。「誰かと恋愛する時間」よりも「自分の時間」を大切にする若者が少なくない。現在は動画配信サービスなどの1人でも楽しめるコンテンツが充実するなど、あらゆる方法で自分の時間を楽しめるようになった。

また、友人との関係においても性別などを超えて仲良くなることができ、その結果、恋愛の優先度が下がったのではないだろうか。実際に「男女の友情は成り立つと思う」という項目も若年層のほうが高く、時間の楽しみ方とそれを誰と楽しむのかも変化したのだろう。

このように、合理性や時間の優先度が大きな影響を与えている。視点を少し広げてみると、目的が明確で合理的な出会い方である婚活サービスが伸長しているのもうなづける。

さて、このような状況の中で、コロナ禍は恋愛にどんな影響をもたらしたのか見ていきたい。

現在、恋人がいない人のうち、コロナ前と比べて「恋人が欲しくなった」と考えている人は約3割(31.2%)いた。多くは変化がない一方で、コロナ禍を経て恋愛意欲が増したという人もいるようだ。

(注)恋愛意欲は、「Aコロナ前より(いずれは)恋人が欲しい」「Bコロナ前に比べて(今後も)恋人は欲しくない」の設問に対し次の回答の計。Aに寄った→欲しくなった/ややAに寄った→やや欲しくなった/変化はとくにない→変化なし/Bに寄った→欲しくなくなった/ややBに寄った→やや欲しくなくなった
(注2)小数第2位を四捨五入しているため、表記の合計値および差分が一致しない場合がある
(出所)リクルートブライダル総研の「恋愛・結婚調査2021」
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