なお、この点で、iPhoneとビッグマックは対照的だ。ビッグマックの場合には国際的な転売は起こらないので、国際的な一物一価が成立せず、賃金の低い国でビッグマック価格が安くなる傾向がある。
「ビッグマック指数」とは、現実の為替レートと国際的な一物一価を成立させる為替レートとの比率だ。
それに対して、iPhoneのように国際的転売が可能な場合には、日本の賃金が低くても、価格が値上がりしてしまうのである。
「安い日本」は、賃金や1人当たりGDPについては、依然として続いている。しかし、国際的に移動できるモノやサービスについては、状況が大きく変わってきているのだ。そして、「賃金は低いが、物価は高い日本」になりつつある。
日本で作れないものは、iPhoneだけではない。最先端半導体も作ることができない。
だから、そうしたものは、従来に比べ高い価格で買わなければならない。円安がさらに進めば、こうしたものは高すぎて、日本には買えなくなるかもしれない。
同じことが、国際的に移動できる労働力(例えば、高度専門人材)についても言える。日本の賃金が低いと、国際的な一物一価が成立しなくなるので、日本から海外に流出してしまうのだ。
元に戻せないのか?
では、こうした状況は、もう元に戻すことができないのだろうか?
それは、今後の日本の経済政策による。
何もしなければ、円安はさらに進み、上で見た状況が一層悪化するだろう。
しかし、金融緩和政策を変更して金利の上昇を認めれば、円安が止まり、円高に向かう可能性もある。そうすれば、上で見た状況は大きく変わるだろう。
ここ半年程度の経済政策が、日本の将来を決めることになる。
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