賃金について、OECDが国際比較のデータを公表している。それによると、2021年における自国通貨建ての数字は、日本が444万円、韓国が4254万ウォン、アメリカが7万4737ドルだ。
これを先の為替レートで換算すると、日本が3万1714ドル(1ドル=140円の場合)、韓国が3万2316ドルとなる。
賃金については、数年前から韓国の水準が日本を上回っていたのだが、その差が拡大したことになる。
また、日本の値は、アメリカの半分にもならない。
企業の時価総額を見ても、日本が立ち後れている。
日本のトップであるトヨタ自動車は、世界第39位で2110億ドルだ。
これに対して、台湾の半導体製造会社TSMCは、世界第11位で4339億ドル、韓国のサムスン電子は世界第25位で2991億ドルだ。
日本の賃金が上がらなくても、iPhoneは値上がり
以上で述べたことは、数字上のものにすぎず、実際の経済活動や生活には関わりがないと考える人がいるかもしれない。
円の購買力がいかに低下しようと、日本で生活している限り関係はないと考えている人がいるかもしれない。
しかしそうではない。
円安によって、日本国内の物価は上昇している。
他方、賃金は上がらないので、日本人の暮らしは日に日に厳しくなっている。
日本国内で生産できないものの価格は、円安によって確実に上昇している。それを端的に示すのが、7月1日に行われたiPhoneの値上げだ。
最上位モデルのiPhone 13 Pro Maxは、それまでの13万4800円が15万9800円となった。2万5000円の値上げだ。
アメリカでの価格は変わっていないので、これは円安の調整だ。日本の価格をそれまでと変えないでいると、ドル建てでは割安になってしまう。そして、国際的な一物一価が成立しなくなるので、国際的な転売が生じる可能性がある。それを防ごうというものだ。実際、値上げ率(18.5%)は、今年初めからの円の減価率とほぼ同じだ。
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