豊かさを表す指標である1人当たりGDPの値の順位も、為替レートの変動で大きく変わっている。
2020年の自国通貨建て1人当たりGDP(IMFのデータによる)を、最近時点の為替レートで換算すると、次のようになる。
1ドル=1316.35ウォンという7月中旬のレートを用いると、韓国の値は3万1902ドルだ。
他方、日本は、1ドル=139円なら3万2010ドルで韓国より高い。しかし、1ドル140円だと3万1782ドルとなって、韓国より低くなる。
台湾との間でも同様のことが起きている。
韓国や台湾の賃金上昇率は高いため、1人当たりGDPでいずれ日本を追い抜くと予想されていたのだが、円安によってその実現が早まってしまったことになる。
なお、アメリカの1人当たりGDPは7万6027ドルだ(IMFのデータ)。日本は、この4割程度でしかない。2020年には、日本の1人当たりGDPは、アメリカの6割強だった。わずか2年の間に、日本はアメリカの半分にも届かなくなってしまったのだ。
アベノミクスの10年間で貧しくなった
アベノミクスが始まる前の2012年の数字を見ると、日本の1人当たりGDPはアメリカと同程度であり、韓国の約2倍だった(図表2参照)。
この10年間に極めて大きな変化が起きたことがわかる。
ただし、2021年においても、日本の1人当たりGDPは、韓国より15.7%ほど高かった。その後の急激な円安によって、韓国が日本を抜いたのだ(なお、図表2の2022年の値は、IMFが推計した為替レートを用いており、韓国、台湾の値は、日本より低くなっている)。
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