企業の「ネット炎上」がなぜか止まらない根本原因 なんでも「炎上」時代に企業はどう対策すれば?

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それ以降も、世間を騒がし、世の非難を集めるスキャンダルが起きる度に、それで盛り上がるネットが引き合いに出され、「ネットでも炎上」という文脈で報道されるようになり、気がつけばネットに書かれた批判のかたまり=ネット炎上、という定義にすり替わっていたのです。

私はその様子を眺めながら、さらにモヤモヤしていました。言うまでもなく、ネットの中だけに生息する「ネット民」など存在しません。現実の世界を生きている人たち、毎日、職場や学校に通い、飯を食って風呂に入っている人たちが、ネットを使っているだけ。

『炎上しても大丈夫! 今日から使える 企業のSNS危機管理マニュアル』より

ネットやSNSがこれだけ普及していれば、世間の話題がネットでも盛り上がるのは当然です。「それ」はネットの中だけの意見、反響ではありません。それなのに、いちいち「ネットでは」という冠を付けて表現されることが不自然に思えて仕方がなかったんですね。そもそもネット炎上って「ネットでやらかした人の騒動」のことだろう、拡大解釈しすぎじゃないかと勝手に悶々としていました。そうです、あの騒動が起きるまでは。

まさか、花見の場所取りで……

ちょっと想像してみてください。季節は春、桜が咲く頃。ここは多くの人で賑わう公園、花見の名所です。桜を眺めながら弁当でも食べようと訪れたあなたは、そこでとんでもない光景を目のします。

桜が咲き誇る広場一面に、500平方メートル(学校のプール1.5個分ほど)の巨大なブルーシートが、広場の半分を占拠する勢いでビッチリ敷き詰められていたのです。よく見ると、シートには注意書きが貼られていました。

3月29日からの5日間 毎日▲時にここで花見をします。それ以外の時間は自由に使ってOKです。●●株式会社

(あれ、ここ私有地だっけ。違う、公共の広場だ。え……何様のつもりだ、コイツら)

状況を理解したあなたは、とりあえずその光景と注意書き、そこに添えられた企業名をスマホで撮影。ツイッターに投稿しました。この後、何が起きたのか、もうおわかりですよね……。

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