過激なネット炎上は「設計」でもっと解決できる オードリー・タンの「コミュニケーション術」
面会の大半の時間を「聴くこと」に費やす理由
私は、自分はメディアでありプラットフォームであることを意識して仕事をしています。
私は毎週水曜日をオープンオフィスの日と決めて、誰でも私と対話することができるようにしています。その日には、小学生から80代のおばあさんまで、幅広い世代、さまざまなエスニシティの方が訪れます(日本からもたくさんの方がリモート経由でエントリーしてくれています)。
そして、そうした人々との対話で集めた意見を“パズルのピース”のようなものであると捉えています(私自身もまた、1つのピースです)。
40分間の面会の間、私が話すのは最後の10分間程度で、他の時間は相手の話に耳を傾けることに集中します。
なぜそんなに集中しなければならないのか? それは、私が相手の視点から物事を見てみたいと思っているからです。
相手の視点に立つためには、相手が言いたいことを完全に理解することが必要です。
その人は、何かとても重要であると思うことがあるからこそ、わざわざ私を訪ねてきてくれたわけです。けれど、もしかしたらその人自身「なぜそれが重要であるか」を明確にしきれていないかもしれません。私は相手がなぜそれをとても重要だと思うのかを知るために、徹底して相手の視点に立たなければならないと思っているのです。
私の考え方が自分の視野によって制限されているように、他の人は私とは違う世界を見ている。これは対話において基礎となる概念ですね。相手には私が見えていないものが見えているかもしれないし、相手の考えのほうが道理にかなっているかもしれない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら