東武鬼怒川線、「ほぼ毎日走るSL」が秘める可能性 沿線住民が花を植え、列車に手を振ってくれる

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ソバの花が咲き乱れる倉ヶ崎SL花畑は東武鬼怒川線の線路のすぐ脇にある=6月中旬(撮影:鼠入昌史)
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鬼怒川温泉――。最近訪れたことがない人がこの名を聞くと、すっかり廃墟だなんだ、寂れただなんだという話が頭に浮かんでしまうのではないかと思う。確かに、そんな感じの話題が出ることもあるからムリもない。ただ、忘れてはいけない。鬼怒川温泉にはSLが走っていることを。

ほぼ毎日SLが走る路線

東武鉄道は「SL大樹」を東武鬼怒川線の下今市―鬼怒川温泉間で走らせている。いまでは東武日光へも足を延ばすようになったが、運行開始から5周年を迎える東武のSLの原点は、やはり鬼怒川線である。東京から日帰りもできる鬼怒川線。ほとんど毎日のようにSLが走っているから、いまいちばん気軽に乗ることのできるSLといっていい。

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ところが、ここで問題なのが、そもそも鬼怒川線っていったいなんだ、という点である。SLに乗っても車窓を眺めながらあっさりと通り過ぎてしまうし、だいたいの駅では途中下車など思いも寄らぬ。

大正時代に下野軌道として開業し、下野電気鉄道を経て1943年に東武のネットワークへ。そして戦後、東京から大勢の観光客を運んで大規模な温泉街が育まれた……というのは、調べればすぐにわかる歴史的なお話。それだけでは鬼怒川線のいまの実態はよくわからないのだ。

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