東武鬼怒川線、「ほぼ毎日走るSL」が秘める可能性 沿線住民が花を植え、列車に手を振ってくれる

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そこで鬼怒川温泉駅にやってきた。東武のほかのエリアでは見られない、日光・鬼怒川地区限定の制服に身を包んだ東武日光駅管区副管区長で鬼怒川温泉駅長の廣長正義さんと、下今市駅長の田沼真由美さん。今回の旅の案内人である。

鬼怒川温泉駅の廣長正義駅長(左)と下今市駅の田沼真由美駅長(撮影:鼠入昌史)

「鬼怒川温泉は、戦後の温泉ブームで東京から電車1本で来られますよ、ということで発展してったんです。ひと昔前は、社員旅行など団体でバスで来まして、どんちゃん騒ぎをして1泊で帰っていくという、そんなこともありました」(廣長駅長)

「バブルの頃ですよね。年末にはシャケを1本もらって帰るプランとかもありましたね。あとは鬼怒川温泉祭りというのがあって、そのときは東武の観光バスが100台以上集まって。私は以前、バスガイドをしていたのですが、修学旅行などと比べれば鬼怒川温泉は楽でした。鬼怒川まで来てしまえば、あとは次の日の出発までご自由に、ですからね(笑)」(田沼駅長)

駅前に転車台が鎮座

と、遠く過ぎ去ったバブルの喧噪を懐かしむおふたり。実際、バブル期には鬼怒川温泉駅の乗車人員が3000人を超えたこともあったという。しかし、バブル崩壊以降団体旅行が下火になると、乗車人員は2000人台へ。そしてコロナ禍で1000人を割るほどに落ち込んだ。「でも、最近はようやく少しずつ戻りはじめていますね。昔のような団体旅行は減りましたが、3月だったら学生さんの卒業旅行とか、そういう少人数のグループで来られる方、結構いるんです」(廣長駅長)

駅舎を出てすぐ脇にSLのための転車台が鎮座する鬼怒川温泉駅。観光客を出迎えるように立つ鬼怒太の像の先、広場を越えると鬼怒川沿いに温泉街が広がっている。

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