小沢一郎・民主党元代表が会見、マニフェストの順守を強調、菅政権を批判
私が最近申し上げているのは、やはり09年に国民に訴えた原点、基本的な政治のあり方を忘れてはいけない。これを忘れたのでは、もはや政権交代の意味はない。最近、「自民党と同じじゃないか」、「自民党よりもかえってよくないじゃないか」という批判をする人が多くなっていると聞いているが、そういう印象を国民に与えているとすれば、それは民主党政権にとってはよくないことだと思う。
内閣・党に対する支持率が著しく下がっているのも、やはりその点にあるのではないか。われわれはもう一度原点にかえり、もう一度初心を自分の胸に問い直して、そして国民の期待に応えるようにしなければいけないというのが私の偽らざる気持ちだ。
--TPPは24もの作業分野があり、医療、司法、公共調達、紛争解決、国のありとあらゆる制度が書き換えられる未曾有の協定であるが、これまで農業にのみ影響を与える貿易の自由化という理解のされ方しかしてこなかった。しかも、その中身について、マスコミも官庁も情報を持っておらず、政府もようやく情報収集している状況にある。にもかかわらず、6月に向けて締結推進の方向に向かう政府の動きにはちょっと理解できないところがある。この、菅政権のTPP推進の構想について、どのようにお考えか、またTPPの中身については、どのようにお考えか。
まず私は、基本的に自由貿易論者であるので、自由貿易は可能な限り推し進めるべきだと思っている。なぜなら、自由貿易で一番利益を享受できるのは日本だからだ。ただ、自由貿易・自由競争を拡大していくためには、対応策をきちんと国内で持っていなければならない。
無制限な自由貿易は結局、弱肉強食の世界になってしまうので、日本だけではなく、どこの国でも同じことだと思うが、雇用や年金、農林水産業など生産性の低い部門でのセーフティ・ネットをきちんと構築したうえで、可能な限り自由競争を広げていくことが筋論ではないか。
今回のTPPというのは、私も内容はよく知らないが、菅さんが突然と見えるような形で打ち出してきたわけだが、おそらく、中身を知れば知るほど、多くの人が時期尚早ないしは反対という結論になってしまうのではないかと思う。拙速をすると、菅内閣だけではなくて、どの内閣・政府でも命取りになる。
--ロシアが北方領土で軍備増強を進めていることが分かった。また中国海軍の電波情報収集機が尖閣諸島に近づき、領空侵犯の恐れがあるとして航空自衛隊のF15戦闘機が緊急発進している。このように尖閣事件以降、ますます日本の領土が危険にさらされている。いま日本はこのような動きをする中ロ両国に対して、どのような姿勢で臨むべきか。
政府・政治の役割は国土と国民を守るということが最大の任務だ。その意味では、最近、指摘のような隣国の動きがあるが、TPPの話も外交も共通した問題点をはらんでいる。それは、官僚主導の事なかれ主義にのってしまい、明確な日本政府としての主張がないことであり、そのせいで必要以上に侮られる結果になっているのではないか。