ステップワゴン試乗に見たホンダのミニバン観 開発者が「家族のアルバム」と表現した商品力

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また、新型ステップワゴン開発チーム全体として、“家族を大切にするためのクルマ”という商品の方向性がしっかりと共有でき、議論を重ねた結果として、チームの意思が統一できていたとも言う。

開発チームメンバーの中には子育て世代も多く、今回のオンライン意見交換に参加したエンジニアの1人は、新型ステップワゴンに対して「家族のアルバム」という表現を使った。

家族の成長とミニバン需要の関係

最後に、ミニバンとステップワゴンに関する市場データをご紹介しておく。まずは、自動車メーカー、トラック/バスメーカー、2輪車メーカーからなる業界団体「日本自動車工業会」がまとめた「2021年度 乗用車市場動向調査」を見てよう。

この調査の中で、「ライフステージ別の乗用車世帯保有率」という項目を見ると、「独身期」が43.4%であるのに対し、次の「家族形式期」では一気に77.7%へと大きく伸びる。詳細な内訳はないが、ここにミニバンが関係しているのは明らかだろう。

さらに、見ていくと「家族成長前期」では87.0%、「家族成長後期」で82.3%と高い数値を維持し、その先の「家族成熟期」では79.9%、「結晶期」では69.2%、そして「高齢期」では65.7%と徐々に下がっていく。こうした日本の家族構成の変化が、ミニバンの在り方に大きく反映されていると考えられる。

また、ステップワゴンについてホンダの資料から販売実績を見ていくと、次のようになっていた。もっともたくさん売れたのは、初代だ。

初代(1996年5月発売):47万9533台
2代目(2001年4月発売):29万 946台
3代目(2005年5月発売):26万9331台
4代目(2009年10月発売):32万5056台
5代目(2017年9月発売):33万4968台

 

初代「ステップワゴン」(写真:本田技研工業)

なお、ステップワゴンのハイブリッド車の比率は、ハイブリッドがステップワゴンに初登場した先代(5代目)では23%だったが、6代目となった新型ステップワゴンの初期受注分(1945台)では88%と、ハイブリッドが主流となったことがわかる。直近では、ハイブリッド車の受注が全体の7割近くで安定しているという。

燃費のみならず、その走りや乗り心地の仕上がりからもハイブリッドが主流となったことは納得できる。先にフルモデルチェンジを果たしたノア/ヴォクシーに対し、どんな実績を残すのだろうか。ステップワゴンの市場動向に期待したい。

桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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