ステップワゴン試乗に見たホンダのミニバン観 開発者が「家族のアルバム」と表現した商品力

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――ホンダとしてミニバンの価値を高めていく中で、ミニバンの本質的な価値が変わらない中、他社製品との差別化していくのはさらに難しくなっていくのでは。

だから、(今回の開発では)開発メンバー全員で(ミニバンに対して感じる)違和感を徹底的になくした。気になるところは、すべて解消していった。従来あるミニバンの“ネガ出し”のようになった。(その結果として)使いやすければ、お客様の心に響くと思う。

――あるメーカーの幹部が以前、「ミニバンは日本特有の自動車文化で、家の中の雰囲気をそのまま外に持っていくようなもの」と表現していた。そんなイメージは、新型ステップワゴン開発チームにもあるか。

家の中というより、“もう1つの家”というイメージではないか。(だから)落ち着く空間を作りたかった。落ち着く空間だからこそ、いろいろ移動したくなる、乗りたくなるクルマにしたかった。

子どもたちが「クルマに乗りたい」という環境のクルマ。どこでもいいから、「クルマに乗って出かけよう」と(家族が)言うようなクルマにしたかった。

SPADA(FF)とAIR(AWD)に試乗

蟻坂氏とのやり取りはここまでとして、話を新型ステップワゴンの試乗の感想に移したい。ステップワゴン SPADA PREMIUM LINE(FF)では、青山周辺の市街地を巡ったあと、外苑ICから首都高速に乗った。

運転席からの見切りがよく、デジタルメーター中央に配置されたホンダセンシングの表示も見やすい。

「SPADA PREMIUM LINE」のインテリア。インパネ上面とドアトリム上面が一直線で見切りがいい(筆者撮影)

ホンダ独自のハイブリッドシステムであるe:HEVも、「フィット」や「ヴェゼル」での開発経験を経て、EV DRIVEモードでの加速のスムーズさや、アクセルを多めに踏んでHYBRID DRIVE モードでエンジンが始動した際のエンジン音も洗練されたと感じる。エンジン音は、“かなり遠く”に感じた。

全体的な感想は「静か」「快適」「ずっしり」「しっかり」「ゆったり」「のんびり」といったところだ。このように感じたままを言葉にすると抽象的になってしまうが、総合的にはホンダの狙い通り“どこか、ちょっと遠くまで出かけたくなるような気持ち”になった。

首都高速を降りて、さまざまなシートアレンジを試してみた。2/3列目シートのヘッドレストを取ってシートバッグを倒し、さらに2列目のオットマンを上げれば、フルフラットな空間ができあがる。

2列目シートのオットマンを上げることでフラット部の面積を拡大している(筆者撮影)

 

フルフラットな空間は、まさに“もう1つの家”のような空間だと感じた。また、3列目の床下収納も、軽いタッチのアクションで簡単に操作できることを確認できた。

次ページe:HEVとは明確に異なるVTECターボの走り
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