30代を過ぎた男性の多くが気にする尿酸値だが、意外にも厚生労働省が定める特定健診の項目に尿酸値検査は含まれていない。一方で、多くの健康診断や人間ドックでは採用されている。
尿酸値は7mg/dLまでが基準値内で、これを超えると「高尿酸血症」と診断される。9mg/dL以上、または8mg/dL以上で腎障害や高血圧、糖尿病や肥満などの合併症がある場合には治療が必要となるため、6mg/dL以下を目指すことになる。
「これが、いわゆる尿酸値の『6-7-8ルール』で、治療で6mg/dL以下にコントロールすることは、国内のみならず海外のガイドラインでも共通になっています」(小島さん)
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第3版)』によると、高尿酸血症は年々増えている。とくに成人男性の増え方は顕著で、2010年の調査では20〜25%が高尿酸血症だった。また、痛風患者数などから推計すると、高尿酸血症を持つ人は1000万人にものぼるという。
高尿酸血症を持つ人の多くは自覚症状があるわけではないが、その状態が長期にわたると「痛風関節炎(痛風)」につながり、ひいては腎臓病や心臓病、脳卒中などの発症にも関わってくる可能性がある。
痛風関節炎では、血液中に溶けきれなくなった尿酸が尿酸塩という結晶となり、関節に沈着して、赤みや痛み、腫れといった炎症状態をもたらす。痛風患者は圧倒的に男性に多く、9割以上を占める。その理由は女性の尿酸値が、男性より低いからだ。これは、女性ホルモンのエストロゲンに尿酸の排泄を促す作用があるためだとされる。
突然起こる痛風発作
痛風発作はある日突然、起こる。とくに症状が出やすいのが足の親指の付け根で、関節が赤く大きく腫れ、熱感を伴う。その痛みは〝想像を絶するもの〟で、激痛のため体を動かすことさえ困難になる。
症状は多くの場合、24時間前後でピークを迎え、1〜2週間程度で治まる。だが、その間は強い痛みのため、松葉杖や車いすを使わざるをえないこともあるという。
尿酸塩は関節だけではなく、臓器にも沈着する。腎臓にできたものが痛風腎で、腎障害の原因となり、腎臓から尿道までの尿の通り道に沈着すれば尿路結石となる。
「残念ながら、現在、痛風には特効薬がなく、発作が起こったら炎症を抑える非ステロイド性抗炎症薬を用いるしかありません。発作の前兆があったら、予防薬のコルヒチンを飲むことで発作を抑えることができますが、いずれも対症療法でしかなく、普段から食事や薬物治療で尿酸値を正常に保つことが重要です」(小島さん)
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