「なんだ、このじんましんは……」
今から9年ほど前のことだ。東京都在住のAさん(50歳・会社役員)は、思わずつぶやいた。
スポーツジムで汗をかいた帰りだった。何となくかゆみを感じて、腕を見ると赤く、たくさんぶつぶつができていた。あわてて自宅に戻り鏡で確認すると、髪の生え際や、耳の後ろから首にかけても赤く腫れていて、とにかくかゆかった。
それでも、たまたま家にあった市販の塗り薬を使うと症状が落ち着いたことから、その後はとくに気にせず、〈かゆみが出る→塗る〉ということを繰り返していた。
そんな状況が続いていたある日、Aさんは運動後に決まって皮膚症状が表われることに気付いた。不安にかられて会社近くの皮膚科を受診し、医師の勧めで食物アレルギー検査(血液検査)を受けたところ、小麦に含まれるグルテンの成分である「ω-5グリアジン」に高い反応を示した。
風呂やサウナ後、鎮痛薬で発症も
医師がAさんに告げた病名は、「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」。その医師曰く、小麦製品であるパスタを食べた後に運動したことで引き起こされる、とのことだった。
「確かにあの時期はスポーツジムで運動する前に、パスタを食べることがルーティンになっていました」そうAさんは振り返る。
ちなみにその後、試しにパスタを食べずに運動してみたら平気だったという。
今も小麦製品を摂った後に体を動かしたり、汗をかいたりすると症状が表れる。そのため、運動する・しないに関わらず、パスタなどの小麦製品は以前のように頻繁に食べることがなくなった。
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